米国で核融合エネルギーの画期的進展

米国立研究所で核融合についての画期的進展があったとの報道がありました。

米エネルギー省が所管するローレンスリバモア国立研究所の研究者らが、核融合炉の燃料から投入を上回るエネルギーが出力される状態を初めて達成したと事情に詳しい関係者1人が明らかにした。温室効果ガスが発生しないクリーンな商業用核融合発電の実現に向け画期的な一歩となる可能性がある。

  水素同位体の燃料を詰めたペレット(小球)に世界最大の装置から大出力レーザーを照射し、発生したプラズマを爆縮させることで、核融合反応を引き起こす「慣性閉じ込め方式」による実験で、過去2週間のうちに「ネット・エネルギー・ゲイン」が達成されたと英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が先に報じていた。

 最近行われた実験の予備段階の結果に詳しい関係者3人を同紙が引用したところでは、データは引き続き解析中だが、レーザーのエネルギー2.1メガジュールの約120%に相当する約2.5メガジュールの出力があったという。

米エネルギー省は13日、ローレンスリバモア国立研究所の研究者らが初めて核融合炉の燃料から投入を上回るエネルギーの出力を達成したと発表した。この歴史的な飛躍により、温暖化ガスを排出せずに世界経済が動く未来が恐らく数十年先に到来する可能性が高まった。

  グランホルム・エネルギー長官は記者会見で、「核融合の飛躍的進歩は歴史に残るだろう」と述べ、「米国がリードしていくだろう」と続けた。

 ただこの技術の実用化にはより割安で簡単なシステムが必要となる。実験で使用したのは大型かつ高額、量産がまだできない大出力レーザーで、今回の実験結果を商用化させるのには課題が多い。

核融合エネルギーは太陽と同じ仕組みのエネルギー源で、原発のような核分裂で問題となる放射性廃棄物も発生しない究極のクリーンエネルギーと呼ばれています。核融合では水分子が燃料となり、地球に豊富にある海水(水資源)を活用できるため、これが実現すると、世界が抱えているエネルギー問題は解決すると見込まれています。

エネルギー問題解決に熱心なビルゲイツ氏もこの分野に投資しています。

 

ちなみに日本では京都大学発のスタートアップ「京都フュージョニアリング」が核融合発電プラントを建設し、2024年末に発電実証実験を予定しています。

京都フュージョニアリングは核融合実験に必要な器となる発電炉に注力しており、核融合業界で重要な部品の多くを三菱重工や東芝などの日本企業が製造しています。こちらのインタビューでは核融合の仕組みや課題について詳細を述べていますので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。まだまだ実現までの道のりは長いですが、将来実現した世界を見るのが楽しみです。