2024年のマーケットが始まりました。日本株は年初から好調で、日経平均は35000円を超えてきていますが、シンガポールREITについても1月7日にリリースされたKenny氏のレポートで現状をチェックしていきましょう。
FTSE ST REITインデックスは先月末の686.24から712.46と、+3.82%の上昇となりました。
2023年11月をボトムに急反発していることがチャートからわかります。米国、シンガポールなど各国金利がピークアウトしたタイミングでトレンド転換しています。
各銘柄のファンダメンタルズを見ていきましょう。
一年以上price/NVA列で緑色のセルが多い状態が続いており、ファンダメンタルズの観点では割安銘柄ばかりであることがわかります。DPU列が緑色になっているものは直近一年の配当額がその前年の配当よりも増額されている銘柄になります。
<Price/NAV>
Price/NAVの欄が株式でいうPBR相当の指数で、割安度を示しています。
*NAV=net asset value(純資産総額)
ST REITインデックスのPrice/NAV は0.79とコロナショックやリーマンショックレベルの割安圏となっているものの、11月以降はボトムの0.7から改善傾向が続いています。
Price/NAVの上位5銘柄は
Most overvalued REITs :based on Price/NAV
- Parkway Life REIT (Price/NAV = 1.6)
- Keppel DC REIT (Price/NAV = 1.35)
- Mapletree Industrial Trust (Price/NAV = 1.32)
- Capitaland Ascendas REIT (Price/NAV = 1.27)
- Mapletree Logistics Trust (Price/NAV = 1.18)
多少順位に前後はあるものの、上位銘柄リストに大きな変動はありません。
下位5銘柄は
- Most undervalued REITs :based on Price/NAV
- Lippo Malls Indonesia Retail Trust (Price/NAV=0.19)
- Manulife US REIT (Price/NAV = 0.20)
- Prime US REIT (Price/NAV = 0.29)
- ARA HTrust (Price/NAV = 0.39)
- EC World REIT (Price/NAV = 0.40)
となっています。米国10年金利の低下により米国に投資するリートのPrice/NAV比率はここ2ヶ月で改善してきていますが、それでも歴史的な低水準となっています。新興国への投資をメインとしている、Lippo Mall, EC Worldがリストに入っています。
<配当利回り>
ST REITインデックスの配当利回りは8.35%とピークの10%超えからはやや下落したものの、過去の歴史的水準から見てもリーマンショック時を超えるような高い水準となっています。時価総額ベースでの平均利回りは6.16%となっています。個別でみても40銘柄中19銘柄は利回りが7%を超えており、うち8銘柄は10%を超えています。シンガポール国債とのイールドスプレッドも5.4%とピークの6.79%から減少したものの高水準となっています。
Highest Distribution Yield REITs (ttm)
- Manulife US REIT (27.44%)
- Prime US REIT (25.53%)
- Keppel Pacific Oak US REIT (15.53%)
- Elite Commercial REIT (13.96%)
- EC World Reit (12.85%)
昨年から一貫して米国関連リートが上位を占めており、減配が必須と言える水準の利回りとなっています。Manulife US REITはLTV比率の規定上限により、配当を実施できない事態から改善されておらず、公表されたリカバリープランによると2025年末までの約2年間はゼロ配当の予定となってしまっています。
株式と同様、配当利回りが高ければ良いというものでもないので、配当利回り単独での投資判断は危険です。配当の持続性やなぜ投資価格が下がっているのかを考慮し、他の指標も勘案しながら、投資判断を行う必要があります。
- Highest Gearing Ratio REITs
- Manulife US REIT (56.0%)
- Elite Commercial Trust (45.4%)
- Prime US REIT (43.7%)
- Lippo Malls Trust (43.0%)
- Suntec REIT (42.7%)
ここでも存続危機となっているManulifeが突出して高いGearing Ratio(LTV)となっています。全体でのGearig Ratioも38.16%と高い傾向になっています。
個別銘柄のヒートマップは下記となります。
全体的にグリーンとなっており、セクター全体が好調であることがわかります。近年下落が続き、底打ちが見えない状況が続いていましが、金利上昇局面も終わり、統計的にもREITが大きく反発することが期待できます。2024年のシンガポールリートのパフォーマンスに注目です。
参照:Kenny Loh's blog
Singapore REITs Monthly Update (January 7th, 2023) - My Stocks Investing