【書評】新・生産性立国論 デービッド・アトキンソン

新・観光立国で有名なアトキンソン氏のシリーズ3部作の3作目です。アトキンソン氏はゴールドマンサックスでアナリストを経験した後、現在は小西美術工藝社の代表取締役となり企業を経営しています。過去2作でも同様の論調をデータを交えて解説しており、今回の「新・生産性立国論」はその集大成とも言える内容になっています。

猫も杓子も生産性、でもほとんどの議論は間違いだ!
『新・観光立国論』(山本七平賞)で日本の観光政策に多大な影響を与えた筆者が、
今度は34年間の集大成として「日本経済改革の本丸=生産性」に切り込みます。
読めば納得、目からウロコ、歯に衣着せぬ「アトキンソン節」、全開!

【本書の内容】
・「良いものをより安く」が国を滅ぼす
・日本企業の数は「いまの半分」でいい
・最低賃金を上げて「経営者」を追い込むべし
・かつて「人口が半減した国」に学べ
・「女性優遇」では生産性は上がらない
・生産性を高めないのは「親を見殺しにする国」になる道 他
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日本人は「生産性」と「効率性」を混同しています。
たとえば、誰も求めていない商品を「効率よく」つくることは可能です。
しかし、売れない以上、「生産性」はゼロです。
生産性のないもののことを、無駄と呼ぶのです。
――デービッド・アトキンソン
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【主な内容】
はじめに
第1章 人口減少は「生産性」向上でしか補えない
第2章 「生産性」を正しく理解し、目標を立てよう
第3章 「高品質・低価格」という妄想が日本を滅ぼす:改革のポイント1
第4章 「女性」をどうにかしないと生産性は上がらない:改革のポイント2
第5章 奇跡的に「無能」な日本の経営者たち:改革のポイント3
第6章 国がとるべき「3つの生産性向上策」
第7章 企業が生産性を上げるための「5つのドライバー」と「12のステップ」
おわりに

日本の高度経済成長は人口ボーナスがもたらしたものであり、一人当たりのGDPを鑑みると、改善の余地は多くあり、日本の現状を変えるには生産性を向上させる必要があると論じています。現在インフレが進んでいることによりモノの値段がかなり上昇していますが、今までの「高品質・低価格」では採算が合いません。本当に高品質のものであれば値上げが許容されるはずであり、値上げができないものはそもそも”高品質”ではなく、需要がないところに無駄にリソースを割いているだけのモノ・サービスであるということです。さらに日本は海外と比べても優秀な女性が多く、彼女たちが適切に力を発揮できる環境を整えることで国としての生産性も大幅に向上すると説いています。また、日本企業が生産性を高めることができていない最大の要因として経営者の質にも触れています。

 

過去2作、特に”観光立国論”は海外からの観光客が激増している今の時期に再度読んでおきたい内容になっています。

 

 

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