シンガポールREITの直近パフォーマンスを、Kenny Loh氏の2月11日付レポートで振り返りたいと思います。
FTSE ST REITインデックスは先月末の725.07から748.41と、+3.22%上昇という結果になりました。2月なりやや下げ幅が大きくなっているものの、1月末には790ポイント近辺と200日移動平均線を上回るまで大きく反発していたことがわかります。
各銘柄のファンダメンタルズを見ていきましょう。
緑色のセルが多く、ファンダメンタルズの観点では割安銘柄ばかりであることがわかります。
<Price/NAV>
Price/NAVの欄が株式でいうPBR相当の指数で、割安度を示しています。
*NAV=net asset value(純資産総額)
ST REITインデックスのPrice/NAV は0.85と先月レポートの0.80から上昇しました。コロナショックやリーマンショックレベルの割安圏となっています。
Price/NAVの上位5銘柄は
Most overvalued REITs :based on Price/NAV (vs 先月のPrice/NAV)
- Parkway Life REIT :Price/NAV = 1.75 (vs 1.58 prev.)
- Keppel DC REIT :Price/NAV = 1.43 (vs 1.29 prev.)
- Mapletree Industrial Trust :Price/NAV = 1.22 (vs 1.15 prev.)
- Mapletree Logistics Trust :Price/NAV = 1.19 (vs 1.09 prev.)
- CapitaLand Ascendas REIT :Price/NAV = 1.17 (vs 1.15 prev.)
下位5銘柄は
- Most undervalued REITs :based on Price/NAV (vs 先月のPrice/NAV)
- Lippo Malls Indonesia Retail Trust :Price/NAV = 0.39 (vs 0.34 prev.)
- Manulife US REIT :Price/NAV = 0.53 (vs 0.55 prev.)
- ARA US Hospitality Trust :Price/NAV = 0.54 (vs 0.49 prev.)
- BHG Retail Trust :Price/NAV = 0.54 (vs 0.57 prev.)
- EC World REIT :Price/NAV = 0.57 (vs 0.56 prev.)
となっています。
<配当利回り>
ST REITインデックスの配当利回りは7.33%と1月レポートの7.90%から下がったものの、依然として7%超えの高い水準となっています。高配当銘柄として申し分ない利回りといえます。個別でみても40銘柄中15銘柄は利回りが7%を超えており、うち9銘柄は10%を超えています。シンガポール国債とのイールドスプレッドも4.12%と先月の4.69%からは縮小しているものの、4%以上のスプレッドは買いの好機と判断できるレベルと言えます
Highest Distribution Yield REITs (ttm)
- Manulife US REIT (16.38%)
- Prime US REIT (13.51%)
- EC World REIT (12.46%)
- United Hampshire US REIT (11.57%)
- Keppel Pacific Oak US REIT (11.26%)
米国関連リート高い利回りが目立ちます。2022年Q4以降は一貫して米国リートが弱く10%を超える利回りが続いています。Manulife US REITのLTV比率が規定上限まで近づきつつあるなどレバレッジについての懸念材料も出てきています。Manulife REITは今回の決算で、配当拠出割合を減らし内部留保を高めることでLTV比率改善を進めることを発表しました。
株式と同様、配当利回りが高ければ良いというものでもないので、配当利回り単独での投資判断は危険です。配当の持続性やなぜ投資価格が下がっているのかを考慮し、他の指標も勘案しながら、投資判断を行う必要があります。
- Highest Gearing Ratio REITs
- Manulife US REIT (48.8%)
- Lippo Malls Indonesia Retail Trust (43.7%)
- ARA Hospitality Trust (43.3%)
- Suntec REIT (43.1%)
- United Hampshire US REIT (42.1%)
Manulifeが突出して高いGearing Ratio(LTV)となっています。全体でのGearig Ratioも37.38%と増加傾向になっています。
最後に、個別銘柄での1月パフォーマンストップ20を見てみましょう。12月に暴落した米国関連リートが反発し上位となっています。2022年は不調であったデータセンター関連REITも好調です。1月は総じて良いパフォーマンスで、7銘柄が10%を超える上昇となりました。
個別銘柄のヒートマップは下記となります。
大半の銘柄がグリーンで、上昇していることが見て取れます。シンガポールだけでなく、アジアREIT全般が1月は好調でした。


他にもKenny氏のインタビュー動画や、シンガポール10年債や米国10年債との比較チャートなど、盛りだくさんのコンテンツになりますので、ぜひ元サイトもチェックしてみてください。今回は2023Outlookについてのセミナー動画もあります。(1:44:14あたりから。)。動画ではリオープニングで好調なCapitaLand Ascott TrustやLTV懸念が顕在しているManulife REITをケーススタディとして取り上げており、必見です。
参照:Kenny Loh's blog
Singapore REIT Monthly Update (February 11th, 2023) - My Stocks Investing