シンガポールREIT マーケット市況 12月レポート

シンガポールREITの直近1ヶ月のパフォーマンスを、Kenny Loh氏の12月4日付レポートで振り返りたいと思います。

FTSE ST REITインデックスは先月末の737.39から723.18と、-1.91%低下する結果となりました。10月後半の大きなリバウンド以降、高値圏を維持していましたが、レンジ下限まで下げる形となりました。

各銘柄のファンダメンタルズを見ていきましょう。

緑色のセルが多く、ファンダメンタルズの観点では割安銘柄ばかりであることがわかります。

 

<Price/NAV>

Price/NAVの欄が株式でいうPBR相当の指数で、割安度を示しています。

 *NAV=net asset value(純資産総額)

ST REITインデックスのPrice/NAV は0.80と先月レポートの0.81とほぼ同じ水準となっています。コロナショックやリーマンショックレベルの割安圏となっています。

Price/NAVの上位5銘柄は

Most overvalued REITs :based on Price/NAV  (vs 先月のPrice/NAV)

  • Parkway Life REIT :Price/NAV = 1.61 (vs 1.75 prev.)
  • Keppel DC REIT :Price/NAV = 1.33 (vs 1.34 prev.)
  • CapitaLand Ascendas REIT :Price/NAV = 1.15 (vs 1.15 prev.)
  • Mapletree Industrial Trust :Price/NAV = 1.14 (vs 1.19 prev.)
  • Mapletree Logistics Trust :Price/NAV = 1.10 (vs 1.10 prev.)

下位5銘柄は

  • Most undervalued REITs :based on Price/NAV (vs 先月のPrice/NAV)
    • Lippo Malls Indonesia Retail Trust :Price/NAV = 0.34 (vs 0.36 prev.)
    • ARA US Hospitality Trust :Price/NAV = 0.53 (vs 0.52 prev.)
    • Manulife US REIT :Price/NAV = 0.54 (vs 0.54 prev.)
    • Prime US REIT :Price/NAV = 0.55 (vs 0.60 prev.)
    • EC World REIT :Price/NAV = 0.56 (vs 0.57 prev.)

となっています。

 

<配当利回り>

ST REITインデックスの配当利回りは7.67%と11月レポートの7.58%からさらに上昇し、7%超え水準で高止まりしています。高配当銘柄として申し分ない水準といえます。個別でみても40銘柄中18銘柄は利回りが7%を超えており、うち9銘柄はなんと10%を超えています。シンガポール国債とのイールドスプレッドも4.61%と先月の4.17%からさらに拡大している状況です。4%以上のスプレッドは買いの好機と判断できるレベルと言えます。

Highest Distribution Yield REITs (ttm)

  • Prime US REIT (14.67%)
  • Manulife US REIT (13.97%)
  • EC World REIT (12.60%)
  • United Hampshire US REIT (12.16%)
  • Lippo Malls Indonesia Retail Trust (12.00%)

米国関連リート、新興国リートの高い利回りが目立ちます。中国やインドネシアを主戦場とするEC WorldやLippo Mallと同程度に先進国リートの利回りが高い状況が続いています。

株式と同様、配当利回りが高ければ良いというものでもないので、配当利回り単独での投資判断は危険です。配当の持続性やなぜ投資価格が下がっているのかを考慮し、他の指標も勘案しながら、投資判断を行う必要があります。

高配当銘柄の多くは海外市場をターゲットにしている銘柄が多いため、REIT Synpoisumのこちらの記事でもビジネス状況など記載しています。ぜひ参考にしてください。

米国リートについては下記記事でもまとめています。ファンダメンタルズはしっかりしていることが伺えます。

最後に、個別銘柄での10月トップ20を見てみましょう。10%以上上がった銘柄が3つ、全体の半数である20銘柄がプラス圏であった点を見ると、個別ではそこまで悪くない月となっています。アノマリー通り、年末に向けてのラリーとなるか注目です。

個別銘柄のヒートマップは下記となります。

10月・11月の暴落マーケットから回復し、ボラティリティも比較的落ち着いてきました。ここからアップトレンドに戻していけるか12月の米国CPI,FOMCが焦点となってきます。米国CPI低下によるインフレ鈍化の傾向が継続されていれば、マーケットの回復基調を維持できるでしょう。ハワード氏のインタビューでもありましたが、長期的な観点で見れば、短期的なCPIなどの指標はノイズでしかありません。REITのような高配当で長期投資に向いているアセットは、割安圏では粛々と積立てのように買い増していけます。減配リスクが少ない安定銘柄や分散の効いたインデックスETFなどを候補として考えていきましょう。

 

ハワード氏のインタビュー記事。

こちらの記事で推奨銘柄について記載しています。

シンガポールREITのETFについてはこちらを参照。

他にもKenny氏のインタビュー動画や、シンガポール10年債や米国10年債との比較チャートなど、盛りだくさんのコンテンツになりますので、ぜひ元サイトもチェックしてみてください。

参照:Kenny Loh's blog

Singapore REIT Monthly Update (December 4th 2022) - My Stocks Investing