直近(1H22)の決算期を終えたシンガポールREITの概況についてOCBC証券からレポートが出ました。
- 1H22シーズンのDPUのYoY成長率は平均で+8.7%,中央値で+2.8%にとどまった。
- シンガポールREITインデックス(FTSE ST All-Share REIT Index)の時価総額加重平均でのDPU成長率は今年度で+3.9%, 来年度で+3.0%とコンセンサスであった今年度+4.5%,来年度+3.9%成長を下回る結果となっている。
- Fedによる米国金利上昇により12-18ヶ月でのリセッションリスクは高まっており、REITにも逆風となっている。安定性の高いハイクオリティのブルーチップ S-REIT銘柄を推奨する。
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推奨銘柄:Capitaland Integrated Commercial Trust, Frasers Centrepoint Trust, Ascendas REIT, Mapletree Industrial Trust, Mapletree Logistics Trust
となっています。推奨銘柄とされていた5銘柄はいずれもFair Valueを下回っており、割安水準となっています。シンガポールREITはここ2年ほど基本的にFair Valueを下回っているため、割安とはいえ価格がなかなか上がって来ない状況が続いています。推奨銘柄も価格のアップサイドというより、確実に配当を上げていける銘柄というニュアンスが強いです。
推奨銘柄として挙がっている銘柄を以下簡単に紹介します。
<Capitaland Integrated Commercial Trust (CICT)>
シンガポールREITで最大の時価総額を誇る基幹REIT.オフィスとショッピングモールを保有する複合REIT。配当利回りは5.4%。
<Frasers Centrepoint Trust (FCT)>
大手FrasersがスポンサーのRetailリート。シンガポール郊外のショッピングモールを多く保有し、Retailリートの中で第3位の時価総額。配当利回りは5.5%。
<Ascendas REIT (AREIT)>
シンガポール最大の産業系リート。配当利回りは5.5%。
<Mapletree Industrial Trust (MINT)>
大手スポンサーMapletree系列のIndustrial系リート。時価総額は産業系REITで第3位。配当利回りは5.3%。
<Mapletree Logistics Trust (MLT)>
大手スポンサーMapletree系列のシンガポールREIT最大の物流REIT。時価総額はAscendas REITに次ぐ産業系2位。配当利回りは5.1%。
ブルーチップREITとはいえ、現在のマーケットによる逆風では、価格下落圧力がかかります。配当利回りベースで魅力的な水準まで下がりつつありますが、マーケットが荒れやすい9-10月で大きく下げる場面を待った上で買い向かうのが良さそうです。