シンガポールREIT マーケット市況 7月レポート

今年上半期も終わったところで、シンガポールREITのパフォーマンスを、Kenny Loh氏の7月3日付レポートで振り返りたいと思います。

FTSE ST REITインデックスは先月末の714.12から716.79と、+0.32%というほぼ横ばいの結果になりました。

 

各銘柄のファンダメンタルズを見ていきましょう。

一年以上price/NVA列で緑色のセルが多い状態が続いており、ファンダメンタルズの観点では割安銘柄ばかりであることがわかります。

 

<Price/NAV>

Price/NAVの欄が株式でいうPBR相当の指数で、割安度を示しています。

 *NAV=net asset value(純資産総額)

ST REITインデックスのPrice/NAV は0.78と先月レポートの0.80から下落したものの、コロナショックやリーマンショックレベルの割安圏となっています。

Price/NAVの上位5銘柄は

Most overvalued REITs :based on Price/NAV 

  • Parkway Life REIT (Price/NAV = 1.70)
  • Keppel DC REIT (Price/NAV = 1.58)
  • Mapletree Industrial Trust (Price/NAV = 1.19)
  • Capitaland Ascendas REIT (Price/NAV = 1.15)
  • Mapletree Logistics Trust (Price/NAV = 1.13)

 

下位5銘柄は

  • Most undervalued REITs :based on Price/NAV
    • Lippo Malls Indonesia Retail Trust (Price/NAV=0.23)
    • Prime US REIT (Price/NAV = 0.28)
    • Manulife US REIT (Price/NAV = 0.31)
    • Keppel Pacific Oak REIT (Price/NAV = 0.39)
    • EC World Reit (Price/NAV = 0.43)

となっています。

 

<配当利回り>

ST REITインデックスの配当利回りは8.93%と先月の9%超えからはやや下落したものの、過去の歴史的水準から見てもリーマンショック時を超えるような高い水準となっています。時価総額ベースでの平均利回りは6.33%となっています。個別でみても40銘柄中20銘柄は利回りが7%を超えており、うち8銘柄は10%を超えています。シンガポール国債とのイールドスプレッドも5.75%と先月の6.05%から2ヶ月連続で減少したものの高水準となっています。

Highest Distribution Yield REITs (ttm)

  • Prime US REIT (31.19%)
  • Manulife US REIT (27.46%)
  • Keppel Pacific Oak US REIT (18.41%)
  • Elite Commercial REIT (14.66%)
  • EC World Reit (13.86%)

米国関連リートがTop3を占めており、減配が必須と言える水準の利回りとなっています。Manulife US REITはLTV比率の規定上限により、物件売却を進めており、今後配当額が大きく減額され配当利回りも大きく下がることが見込まれます。

 

株式と同様、配当利回りが高ければ良いというものでもないので、配当利回り単独での投資判断は危険です。配当の持続性やなぜ投資価格が下がっているのかを考慮し、他の指標も勘案しながら、投資判断を行う必要があります。

  • Highest Gearing Ratio REITs
    • Manulife US REIT (49.5%)
    • Elite Commercial Trust (46.6%)
    • Prime US REIT (43.7%)
    • Lippo Malls Indonesia Retail Trust (42.9%)
    • Suntec REIT (42.8%)

Manulifeが突出して高いGearing Ratio(LTV)となっています。全体でのGearig Ratioも37.98%と高い傾向になっています。

 

個別銘柄のヒートマップは下記となります。

全体的にプラスの銘柄が多いことがわかります、時価総額の大きい大型REITの大半がマイナスとなっており、セクター全体が弱かったことがわかります。

 

6月FOMCで利上げが停止されたものの、7月以降に2回の再度利上げが予想されています。すでに金利上昇局面の終盤まで来ており、REITは利上げ停止から利下げへの局面で価格が上昇する傾向があります。先行している日本株や米国株の上昇トレンドのように、シンガポールREITも今回の長いベアトレンドから上昇へと転じる局面が近づいてきています。2023年後半のシンガポールREITの巻き返しに期待です。

 

参照:Kenny Loh's blog

Singapore REITs Monthly Update (July 3rd, 2023) - My Stocks Investing