米国、水素大国へ。投資を加速

米国がクリーンエネルギーへのさらなる投資として「水素」の生産拠点の整備に約1兆円(70億ドル)を投じることを決めました。脱炭素への政府投資額は260億ドル規模で民間との折半分を加味すると全体で500億ドル規模の投資となります。

バイデン米政権は脱炭素実現へ「水素大国」を目指し、生産拠点の整備に70億ドル(約1兆円)以上を投じる。2030年に年1000万トンを生産する構想で、バイデン大統領がエネルギー省次官に指名したデビッド・クレーン氏は日本経済新聞の取材に「日本にも輸出できる」と述べた。

温暖化ガスを排出しない水素への注目は高く、2030年に年間1000万トンの生産量を計画しています。(2021年の世界全体の水素需要の1割に匹敵し、2030年の世界生産量予測の約半分を占めるほどの規模になります。)

燃焼しても温暖化ガスを排出しない水素は、脱炭素政策の柱の一つ。政府はまず70億ドルで国内に6~10カ所の生産拠点を整備する。事業費の最大半分、1カ所あたり12億5000万ドルを上限に支援。企業の事業提案を23年4月まで受け付ける。三菱重工業など日本勢も提案を検討している。

ちなみに日本側ではアンモニアを使用しての水素生産に活路を見出しているようです。

日本の電力会社はアンモニアを燃料に発電し排出削減を目指す。商社などは米国で生産した水素を船で運搬しやすいアンモニアに変換し、日本に供給する計画を模索している。

水素については、大場氏による下記動画がわかりやすく、基本部分から丁寧に説明してくれています。

例えば

  • この2年間で世界的に水素ブームが起きている。
  • 水素にはグリーン、ブルー、グレー水素など色分けがされており、現状グレー水素での生産が大半。
  • 再エネで水素を作る時(生産側)、FCVで消費する時(消費側)の両面でプラチナが必要。日本はプラチナを使わない製法での実績が多い。

日本は原発もあるので、それを利用すればパープル水素の形で水素を生産することも可能のように思えます。欧州ではパープル水素も低炭素水素と考えているようなので、原発再稼働と合わせてこちらの動きも注目です。

 

水素の開発については、オーストラリア・日本・シンガポール間で協業もしていますし、Keppel DCがデータセンターで使用する電力に液体水素を活用するということで、船で輸送するインフラをKeppel・大阪ガス・ウッドサイドで「H2Perth」というプロジェクトで検討しているようです。

Keppel Data CentresのCEOであるWong Wai Mengは、次のように述べています。「このMOU(覚書)は、オーストラリアからのLH2をシンガポールのデータセンター用電力として利用する可能性を探るもので、将来的にはケッペルの他の事業部門にも適用される可能性がある。上流のLH2サプライチェーンにおける今回の協力体制は、輸送、貯蔵、再ガス化を含む中流から下流のセグメントを調査するために様々なパートナーと締結した既存MOUを補完するものである」

ケッペルはすでに、シンガポールでLNGガス化の冷熱利用を目指すプロジェクトに参画し、海水で冷却する浮体式データセンターの調査も行っています。