止まらない円安はどこまで続くか JPモルガン佐々木融氏セミナー

昨年1ドル151円をつけた記憶もまだ新しいですが、再び1ドル150円目前まで行くなど、円安が止まらない状況が続いており、昨年以来の為替介入に注目が集まっています。この歴史的な円安がどこまで続くのか、JPモルガンの佐々木融氏による楽天証券でのセミナーが10/10に実施されました。

  • グローバルでのリセッションはそうそう来ない。名目では日本は大きく成長している。株式は名目で動く。
  • ディスインフレ時代は終了、インフレの時代へ。労働力不足、保護主義、脱炭素などコスト高の要因。
  • 年末までさらに円安が進む可能性あり。2023年Q4で1ドル152円、2024年Q1,Q2でも153円と円安を予想。2023年後半は「ドル高円安」となる一方2024年は「ドル安円安」でドル円はレンジ、クロス円が続伸しユーロ円は165円予想。
  • 円は実質金利が大幅マイナスで構造的に弱い。米国金利は5.5%で利上げ打ち止めが基本線だがもう少し利上げあるかも。日銀は24年Q1にYCC解除。YCC解除しても円高は一時的。
  • 日本のインフレは継続。円安は続く。
    • 実質金利の大幅悪化:①賃金上昇、②金利を上げれない。
    • 貿易赤字など貿易構造の変化。サービス収支赤字(サブスク、クラウドサービスなど)
    • キャリートレードの活発化。
  • 為替介入。円買い介入は慎重にならざるを得ない。新NISAなどで外貨資産を買う動きが出れば円安の流れは止められない。
  • 日本の格付けが下がるとドルファンディングが難しくなり外貨調達が困難になる可能性も。今後のリスクファクターとなる。
  • 円の購買力平価からは大きく乖離。名目レートが円高になるよりは日本の物価が上がり収斂する可能性の方が高い。円高になるには①日銀の利上げ、②他国の大幅な利下げが必要。

日本の実質金利 : 過去40年にない急速かつ大幅なマイナス

セミナー資料は以下のリンク先よりダウンロードできます。かなり情報の濃いセミナーでスライドも多くあるため必見です。

セミナー資料

 

約一年前の佐々木氏の見解はこちら。インフレについての見解など大局的な部分は昨年度と同様で変わっていないことがわかります。