マレーシア データセンター誘致。シンガポールからハブの座を奪えるか

シンガポール隣国であるマレーシアでのデータセンター設立が激増しています。

東南アジアのデータハブであるシンガポールで土地の確保などの問題によりデータセンター(DC)の新設が難しくなるなか、周辺国が新たな投資の誘致へと動いている。足元で活発化しているのがマレーシアだ。シンガポールに近い立地に加え、政府の減税や安定的な電力供給といった積極的な支援も投資を後押ししている。

 

シンガポールに隣接するジョホールバル州はその立地を活かし、データセンター設立を加速させ、世界的なデータセンター需要を取り込もうとしています。シンガポールは震災などの災害もなくアジアのハブとして恵まれている立地なのですが、政府の環境規制によりデータセンターの新設・増設が困難な状況となっており、グローバルでの需要を逃しつつあります。そこに商機を見出してきたのが、隣国マレーシアです。土地や電力も安くシンガポールと隣接している点は魅力的で、国策としてデータセンタービジネスを強化することを決めました。

 

特にシンガポールのすぐ近くにあるジョホールバル州は、シンガポールにいる方であれば週末を利用し買い物に行く人も多数いるほど近い距離です。米国DC REITの最大手であるエクイニクス、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス), そして中国のブリッジ・データセンターズ、GDSホールディングスなどが相次いでマレーシアに参入しています。マレーシアのDC市場は2028年までに22億5200万ドルと2022年比で+72%成長の見通しです。

 

シンガポールはハードルとなっている政府の規制解除を求めて、再生可能エネルギーの利用など脱炭素化を進めています。そこが解消されない限りデータセンター新設が行えず、せっかくの世界的なデータセンター需要の取り込みとハブとしてのポジションを失ってしまうと、Keppel DC REITのCEOも懸念を表明しています。

Keppel DC REITはシンガポールだけでなくマレーシアのDCにも投資していますが、国益につながる本国シンガポールでの投資をさらに拡大させて行きたいと考えています。世界的なニーズの拡大が見えているだけに、チャンスを逃すべきではないと歯痒い状況が見て取れます。今後のシンガポールの対応と周辺国の動きに要注目です。

 

シンガポールを代表するデータセンターREITであるKeppel DC REITの最新決算は以下の記事で解説しています。