【銘柄分析】 Keppel DC REIT :シンガポールを代表するデータセンターREIT

<概要・特徴>
シンガポール最初のデータセンター特化型リート。シンガポールを中心としたアジアパシフィックと欧州圏にデータセンターを保有しています。特にシンガポールは地震や津波などの自然災害がなく、BCP(Business Continuity Plan)の観点から立地面での利点もあります。

スポンサーはシンガポール大手コングロマリット企業のKeppelです。このKeppel DC REIT以外にも多数のREITを運営しています。

上場以来、資産額(AUM),DPU配当共に順調に伸びており、運営も適切に行われています。

 

価格1.81 SGD 時価総額3,109 M SGD 配当利回り5.5% (10/31時点)

直近の2022Q3決算ではNPI, DPU共に微増で、伸び率は鈍化しています。データセンターの運営は他REIT以上に電力消費が多く、エネルギー価格高騰による費用の増加が影響しています。

Gross Revenue 69.3M SGD (YoY +1.4%)

NPI 63.8M SGD(YoY+0.5%)

DPU 2.467 cents (YoY+5.0%)

 

<ポートフォリオ>

AUMベースで54%はシンガポール、続いてオーストラリア8.9%,中国8.2%,欧州は27.9%となっています。分散させつつも、競争力のあるシンガポールDCの比率を50%以上にしている点はEquinixなど世界的なDC REITとの差別化要因となっています。ここ2年は中国DCへの投資が増えているので、米中対立が激化した際のリスクは把握しておいたほうがよいと思います。BCPの観点で世界各地に分散する点や中立的な立場であるシンガポールDCの立地は強みとなりますが、中国データセンターはセキュリティの観点から欧米企業が避けるケースもあります。(以前、Zoomがデータセンターを中国に置いていたことで問題となったケースもありました。)

稼働率は98.6%と高水準となっています。

 

<テナント・リース状況>

テナントはTech,IT系がメインで、賃料収入のタイプ別ではコロケーションが66.2%となっています。

借入金の平均金利は2.3%、固定金利比率は74%となっています。ユーロや豪ドルなどナチュラルヘッジで為替インパクトを軽減できるよう配慮しています。

価格面では2021年をピークに下落しているため、PBRでは上場以来の割安水準となっています。配当利回りも6%を超えており、投資するにあたって良いチャンスだと言えます。

 

データセンター市況については下記の記事でも取り上げています。