ダラス連銀ローガン総裁 : 米国国債市場の脆弱性を指摘

ダラス連銀のローガン総裁が3日のスピーチで、米国国債市場の脆弱性を指摘しました。次回のFOMCでの利上げが0.5%になる可能性があるという意見が出ている中で、0.25%の利上げを支援する材料とも言えそうです。

ローガン氏は「国債市場の規模と複雑さが増大する中、仲介の供給が需要に追いついていないため、米国の金融システムは中核市場の機能不全に対し一段と脆弱になっている」と指摘。同時に「中央銀行が中核的な市場機能の支援に介入することはまれであるべき」とし、「介入が必要な場合は、効果的でなければならない」と述べた。

 

下記ダラス連銀のサイトにスピーチ全文が記載されています。

原文ではStanding Repo Facility (SFR)による流動性提供などがマーケットのレジリエンスを高めるかを2020年のコロナショック時のケースなどを元に考察しています。

 

今回の講演では、ローガン総裁の経済見通しやマネタリーポリシーについてのコメントは見られなかったため、前回1月18日にテキサス大学経営大学院で「経済見通しと金融政策」について行った講演を取り上げたいと思います。今年度のマクロ状況を把握する上で理解しておきたい内容となっています。

 

前回のFOMCでは0.25ptの利上げと利上げペースを減速させましたが、ローガン氏も上記の講演で、利上げペース減速支持、インフレ抑制にあたっての過剰引き締めリスクについて言及していました。ローガン総裁のコメントが重要なのは、FOMCでの投票権を持っている点、さらにダラス連銀総裁に着任前はコロナ禍の大規模金融緩和政策を実行したことで知られています。FOMCメンバーについては、下記のブタ丸さんのツイートでの図解がわかりやすいです。ローガン総裁は23年投票組の欄で中立の見解を示しています。

 

ローガン総裁は、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が注視する住宅を除いたコアサービスインフレの物価圧力が高止まりしていると指摘。「私はサービスインフレの高止まりを景気過熱、特に労働市場逼迫(ひっぱく)の兆候とみている。総合インフレ率が持続的に2%に回帰するためには、労働市場のバランス改善が必要になる」と指摘した。

  さらに、労働市場は「持続不可能なほどタイト」だが、当局はインフレ抑制を図るのに当たり、引き締めが足らずインフレ期待上昇を定着させるリスクと、行き過ぎて労働力に痛みをもたらすリスクの2つに対応する必要があるとした。

  講演後の質疑応答で同総裁は、物価安定の目標達成には「景気と労働市場のある程度の緩和が必要になるだろう」と発言。「それが正確にどの程度で、どのような形になるかは極めて不透明だ」と述べた。

US Consumer Price Data Consistent With Moderating Inflation | CPI figures suggest inflation has peaked, give Fed room to slow rate-hike pace

 

 

 

2月の米国株指数は調整したものの、3月に入りS&P500指数は再び4050ドル近辺まで上昇しており、この流れが継続できるか注目となります。Tom Lee氏は3、4月は押し目買いの好機で大幅上昇が期待できる2ヶ月となると強気のコメントをしています。インフレは引き続き落ち着き、金利が下がってくるという見通して、特にGAFAMなどのTech株にとっても好材料となるようです。(ちなみに2月は調整があるとコメントしており、見事的中させていました。)

特に今週はパウエル氏の講演、雇用統計、そして日本関連では黒田総裁最後の会合と盛り沢山な週になっていますので、それぞれ動きを追っていきたいと思います。