CapitaLand Ascendas REIT 2023 H1 決算

シンガポールREITを代表するIndustrial REITであるCapitaLand Ascendas REITがFY2023 H1決算を発表しました。無難な決算であったものの、配当が前年比-2.0%減額という結果になりました。

Asset Management: 物件の稼働率は94.4%とYoYで0.4pts改善。特筆すべきは更新賃料上昇率で+14.2%と既存物件からの収益力が増しています。

Capital Management: レバレッジは36.7%と低水準を維持し、為替リスクは75%をナチュラルヘッジしています。

Financial Performance: DIはS$ 663.9MとYoY +5.4%成長、DPUは15.798cents で+3.5%成長です。以下、それぞれの項目の詳細を見ていきたいと思います。まずは、Financial Performanceから。

FY2023 1H vs FY2022 1H実績での比較です。

Gross Revenue: S$ 718.1 M (YoY +7.7%)

NPI: S$ 508.8M (YoY +6.7%)

DPU: 7.719 cents (YoY -2.0%)

新規物件取得によりGross Revenue, NPIで前年比プラスを達成したものの、金利コストやエネルギーコスト上昇などインフレに伴うコスト増加により配当額は前年比-2%となってしまっています。

 

稼働率については、前年比で0.4pts改善されており、ポートフォリオ全体では94.4%となっています。特にAustraliaは3pts近く改善し、99.5%となっています。やや減速しているUS物件の稼働率は引き続き悪化しており、1年以上改善する兆候が見られない点は懸念材料といえます。

更新賃料増加率は前年比+18%と大きく増加しており、シンガポールでのインフレ率の上昇が進んでおり、+19.5%と大きく寄与したようです。FY2023年も1桁台後半の上昇を見込んでいるようです。


インフレ対策の要とも言えるバランスシート(BS)面での指標も確認していきましょう。

レバレッジ比率を36.7%と低水準を維持しています。借入金利コストは今期の配当額マイナス成長要因となったように3.3%と前年比で+1.2ptsと高くなったことがわかります。

金利が上昇した場合のDPUへの影響もまとめており、+50bpsで-0.14centsのDPUへのマイナスインパクトとなります。為替リスクについてもポートフォリオ全体の75%分をナチュラルヘッジでカバーしています。

 

最後にFY2023 H1の投資ハイライトを見ておきましょう。

1Hで取得した物件は3件、売却物件は1件となっています。

売却物件は直近の評価額の+55%プレミアを乗せた額で売却完了するなど、好条件での物件入れ替えを進めており、ポートフォリオ管理としても順調に行っているといえます。

 

今回の決算を受けてアナリストは”Buy”レーティングを維持したもののターゲットプライスを$3.25から$3.20に下方修正しています。