CapitaLand Investment Limited:シンガポールを代表する不動産企業

REITの景気耐性を見るにあたって、スポンサーの財務健全性は重要な要素となってきます。今回はシンガポールを代表するREITを複数所持するスポンサーであるCapitaLand Investmentについて見ていきたいと思います。J-REITに例えると大口スポンサーである三菱地所や三井不動産のような国を代表する企業です。シンガポールの至るところにCapitaLandが関わっている物件があります。

CapitaLandが保有しているREITのリストです。Office & Retail, Industrial系などいずれのカテゴリーでも代表となるREITばかりです。

シンガポール国内のみならず、アジア全体で存在感を発揮しており、国別、セクター別で分散化の効いたビジネスポートフォリオを構築していることがわかります。

 

主なビジネスセグメントは3つで、Fund Management, Lodging Management, Capital Managementとなっています。これらのうち、Fund Management, Lodging Managementの2つはFee Income-related Businessとなっており、手数料収入が基本となるビジネスモデルとなっています。それぞれの2022Q3の実績は下記のようになっています。

特に近年はLodgingに力を入れています。CapitaLand Ascottに加えてサービスアパートメント大手オークウッドを買収したことも記憶に新しいです。

2022年9月末までの売上実績についても、前年度比ベースで、Fee Business/Real EstateInvestment Business両者大きく伸びています。

 

 

それぞれのセグメントの詳細を見ていきましょう。まずはFund Managementから。

<Fund Management: Fee Income-related Business>

CapitaLand Investmentが保有しているREITはこのセグメントで計上されています。セグメントの扱いや実績を見ると、REIT運営に対し本気で投資・サポートを行い、全うにビジネスを行っている姿勢がわかります。(J-REITでは一部、スポンサーのゴミ箱と揶揄されることもありますが、、シンガポールREITのガバナンスの高さはこういうところにしっかり表れています。)

不動産価値を高めるための多くの開発が進んでいます。

<Lodging Management: Fee Income-related Business>

アフターコロナの恩恵を受け、現在力を入れているセグメントです。

M&Aなど積極的な成長戦略を取り、数字もしっかり伸びていることがわかります。

 

<Real Estate Investment: Capital Management>

直接保有する不動産管理のセグメントです。直近の金利上昇を受けて、不動産価値などの面で逆風を受けています。

 

<財務状況>

S$7.2 Bの潤沢なキャッシュとS$440Mのオペレーティング・キャッシュフローがあり、Gearing ratioはNet Debt/Total Assetで0.3倍と健全な水準です。借入金の平均金利は2.9%,固定金利比率は62%となっています。

 

最後に、今年度と来年度のコンセンサス予想を元にしたPL・指標を見ていきましょう。

PERは18倍、ROEは5.8%、そして配当は4%の水準となっています。REITよりは配当利回りは低くなりますが、不動産最大手企業でこの利回り水準は割安と言えます。上記PBRは10月の株価V字回復の前の数値なのでかなり割安に見えていますが、11月現在はこの数値からは上がってきています。年末ラリーでのさらなる上昇となるか注目です。

 

使用したスライドは下記IRサイトの資料から参照しています。

参照:IR資料 Financial Results | CapitaLand Investment