シンガポールでのブロックチェーンを活用したデジタルアセットやDeFiの運用試験開始

シンガポールでは、ブロックチェーンを活用した運用試験やプロジェクトが国を上げて推進されていますが、シンガポール金融管理局(MAS)が開始した「Project  Guardian」が順調に進んでおり、11/2にMASよりデジタルアセットとDiFiの運用試験が開始されたことがアナウンスされました。このプロジェクトにはシンガポール最大手銀行のDBS銀行や米国最大手のJPモルガンなどが名だたる企業が参画しています。日本からはSBI デジタルアセットも名を連ね、日本国債や日本円もテストに一役かっています。

The Monetary Authority of Singapore (MAS) announced today that the first industry pilot under MAS’ Project Guardian [1] that explores potential decentralised finance (DeFi) applications in wholesale funding markets has completed its first live trades. More industry pilots have been launched to test the application of asset tokenisation and DeFi across a broader range of use cases in the financial sector.

プロジェクトガーディアンは金融資産のトレーディングやウェルスマネージメントなどにも実証実験の範囲をさらに広げていくようです。

シンガポールは、過去に大手銀行、金融機関、規制当局が行ったような暗号資産(仮想通貨)やDeFi(分散型金融)における最も先進的な取り組みを淡々と進めている。

なかでも、シンガポール金融管理局(Monetary Authority of Singapore:MAS)がこの夏に開始した「Project Guardian(プロジェクト・ガーディアン)」には、シンガポールのDBS銀行、米銀最大手のJPモルガン・チェース、日本のSBIデジタルアセットホールディングス、そしてシンガポール取引所(SGX)とシンガポール政府系投資会社のテマセク(Temasek)が設立したデジタル資産プラットフォームのMarketnodeがテストに参加した。

そして、第一段階のテストで、シンガポール国債やシンガポールドルといった金融資産の基幹となる部分をトークン化して取引を行っているようです。日本円や日本国債が絡んでいるのは嬉しいですね。

第一段階のテストでは、トークン化されたシンガポール国債、シンガポールドル(SGD)、日本国債、日本円(JPY)が取引され、イーサリアムのレイヤー2ソリューションのPolygon(ポリゴン)、DeFiレンディングプラットフォームのAave(アーベ)、DEX(分散型取引所)のUniswap(ユニスワップ)が使われた。

「我々はDeFi流動性プールを使って政府証券と現金をトークン化できることを示したかった」とDBSのストラテジー&プランニンググループ責任者、ハン・クィー・ユアン(Han Kwee Juan)氏は語った。

「自動マーケットメーカー(AMM)を使い、ブルームバーグやリフィニティブ(Refinitiv)からの価格情報や市場データを活用して、規制当局が納得できる機関投資家レベルのDeFiを構築したかった」

 

シンガポールのDBS銀行が、デジタルシンガポールドル(DSGD)を政府バウチャーとして活用するための運用試験開始を10月31日に発表した。 バウチャーとは、ある特定の目的のみに使用できる金券のことを指す。特に政策手段としてのバウチャーとは、「教育訓練」や「保育サービス」というように使い道が限定されて、個人が政府から受け取る補助金のことを意味する。

さらには、政府からの補助金(バウチャー)をスマートコントラクトを実装させた形でデジタル・シンガポールドル(DSGD)を発行し、バウチャーの配布や消費を行えるようにします。この仕組みにより、加盟店が通常クーポン決済での入金に1-2営業日かかるところが即時に入金されるようになりキャッシュフローの拡大やバックエンド業務の効率化につながります。(ちなみに、こちらはProject OrchidというMAS主導の別プロジェクトの一環で運用試験をしています。)

 

シンガポールでは具体的にプロジェクトを進捗させている一方、日本では岸田首相がWeb3推進に向けて"検討を加速"しているようです。。。スピード感の違いに驚かされますね。

岸田総理は4点目の課題として名指しした「DX(デジタルトランスフォーメーション)への投資」の目標の一つとして「Web3サービスの利用拡大」を挙げた。以下のように発言した。

メタバース、NFTを活用したWeb3サービスの利用拡大に向けた取り組みを進めます。

DX領域への投資としては、他にもデジタル田園都市構造やマイナカードと健康保険証の一体化、半導体なども取り上げた。

 

産業インフラとしてDiFiの取り組みを進める中、GameFiについてはシンガポール政府は厳しい姿勢を取っています。一概に規制するのではなく、有用なものは先んじて進め、問題が起こりそうなところは規制するといった規律を持って、Web3に取り組んでいるところが見受けられます。