イギリス・ポンドが歴史的な下落となっています。23日金曜のマーケットでトラス政権が大幅減税政策を発表したことで、さらなるインフレと、イギリス財政を懸念したマーケットが反応。一部トレーダーの間ではポンド・ドルでのパリティを目指すのではという話も出ています。
23日の外国為替市場で、英ポンドが対ドルで37年ぶりの安値を付けた。リズ・トラス新政権による、過去50年で最大規模の減税政策に反応した格好。
英シンクタンク「財政研究所(IFS)」のポール・ジョンソン所長は、今回の市場の反応は、英政府の新戦略が投資家の国内借り入れに依存していることへの「懸念」だと指摘した。
「この計画は、上昇を続ける金利で多額の借金をし、政府債務を持続不可能な増加軌道に乗せた上で、経済成長が改善するよう期待するもののようだ」
ジョンソン氏は、新戦略によって高インフレの中で需要が増加すれば、物価がさらに高騰するリスクがあると述べた。また、イングランド銀行は同時期に政府とは真逆に向かっており、450億ポンドの減税措置に対応するための利上げに踏み切る可能性が高いと話した。
ドイツ銀行のストラテジスト、ジョージ・サラヴェロス氏もイングランド銀行は早ければ週明けにも、「市場での信頼を回復する」目的で、予定外の緊急利上げをする必要があると指摘。
さらに26日今朝のマーケットでは、追加での減税を行う用意があるとの財務相のコメントを受けてさらに下落を開始しました。
アジア時間26日の外国為替市場では、英ポンドが対ドルで一時4.7%下落し、過去最安値を更新した。
英政府が23日に打ち出した財政政策に対する金融市場の受け止めは否定的だったにもかかわらず、クワーテング財務相は週末に追加減税を推進する方針を表明した。
ポンドの対ドル相場は一時、1ポンド=1.0350ドルと過去最安値を付けた。急落はわずか20分で起きたことから、トレーダーの間ではフラッシュクラッシュと指摘する声もあった
==2022/9/27追記==
BOEは緊急声明を出したものの追加利上げ等のアクションは取らずに11月の次回会合まで様子見と明言。一旦ポンドは持ち直したものの、解決策が明示されるまでは再度下落するリスクが高い。
ベイリー英中銀総裁は声明で、金融市場の動向を「極めて注意深く」監視していると表明。政策担当者は「インフレ率を中期で持続的に2%の目標に戻すため、必要なだけの金利変更をちゅうちょしない」と明言した。
ただ、英中銀が緊急措置をとるとの憶測は否定した様子で、「政府の発表が需要とインフレに及ぼす影響とポンド安について、次回の定例会合で入念な評価を行い、それに従って行動する」と説明した。
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このポンドの下落によりポンド建てであるElite Commercial REITがかなり割安になることが予想されます。イギリスの状況を見ながら買い場を探りたいと思います。