政府・日銀による24年ぶりの円買い為替介入

9/22は日銀政策決定会合でいつも通りの「現状維持」という黒田総裁の話で終わりでしたが、その後に政府・日銀によるドル売り円買いの為替介入が行われました。事前にレートチェックを行うなど介入への警戒感が高まってましたが、このタイミングで実行されました。

政府・日銀は、外国為替市場で1ドル=145円台後半まで円安が進んだことを受けて、急速な円安に歯止めをかけるため、22日夕方、ドルを売って円を買う市場介入に踏み切りました。
政府・日銀によるドル売り円買いの市場介入は、日本の金融危機のさなかに円安が進んだ1998年6月以来、24年3か月ぶりとなります。

また、市場介入自体は、東日本大震災があった2011年11月に歴史的な円高に歯止めをかけるために行われた円売りドル買いの介入以来となります。

介入直後の午後5時半過ぎには1ドル140円台前半まで、5円以上円高方向に振れました。NY時間引けにかけては142円前半まで戻りましたが、それでもかなりのインパクトがありました。口先介入での牽制のみで、実際に介入が行われる可能性は低いだろうと思われていたなかでの実施であったため、よりインパクトが大きかったです。

 

一方、日銀の大規模金融緩和姿勢やドル円の実質金利差などマクロ環境の観点では円安に戻りやすい状況に変わりはありません。過去1990年代に実施された5回の円買い介入では初日・2日までが効果が最大で持続するものの、徐々に円安圧力がかかり、介入から平均26日後に元のレートに戻るというデータがあります。

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さらに政府が円安メリットを活かす政策として、10/11より水際対策緩和による海外からの観光客受け入れが本格的に開始されます。観光客によるインバウンド需要は円安抑制にも効果があります。1兆円あたり0.6-0.7円分の円高効果があると言われており、コロナ前のインバウンド需要は約6兆円であったことから、4円程度の円高効果がありました。*下記NY stockさんのTweetより。

また、今後の参考として、口先介入から見る当局の本気度をNY stockさんがまとめてくださっていました。

為替介入はめったにない事象で今後のマーケットの動きも気になりますが、過去どうであったのかを把握しておくことで、急な為替変動への対応を準備することができます。こちらのグルーバルマクロのアナリストである田中太輔氏がトウシルで動画を出しているのでこちらもぜひ参考にしてみてください。