==2023/9更新==
シンガポールREITの中で規模的にも2トップともいえるAscendsとCapitaLand Integrated Commercial Trustのうち、今回はAscendasについてまとめたいと思います。
シンガポールREITの代表格であるAscendas ReitはIndustrial(産業系)のREITに属します。
保有物件もビジネスパークを中心とした超優良物件を保持しています。特に直近では物流施設の取得にも力を入れ、シンガポール・オーストラリアのみならず米国での物件取得も進めています。
シンガポールREITが誕生してから20周年を記念して作成された動画ですが、Ascendas REITの歴史がわかります。
時価総額:12,425 (S$ m) 約12,425億円 (2023.09.18時点)
<直近四半期(FY23 H1)の実績 >
売上:718M $ (YoY +7.7%)
Net Property Income: 508M$ (YoY +6.7%)
DPU:7.719 (cents) (FY 23 H1実績)
配当利回り:約5.6%
占有率:94.4% (YoY +0.4pts)
保有物件ポートフォリオの特徴:
・シンガポール,オーストラリア,米国, UKの4カ国に分散(シンガポール63% 米国 14% オーストラリア14% UK 9%)
・ビジネスパーク・サイエンスパークで全体の40%
・データセンターも7%保有。物流施設も26%まで拡大。
2023年はデータセンター(シンガポール、英国)への投資を積極的に行っています。2022年では、物流施設(オーストラリア、米国)を新規取得することでポートフォリオの分散化を進めていました。戦略的に着々とポートフォリオの分散化を進めていることがわかります。
1H 2023で取得したロンドンのデータセンター
各国別での保有ポートフォリオを見ていきましょう。
シンガポールではビジネススペースが約40%、産業施設が30%とこの2つで約7割を占めます。
米国ではビジネススペースが大半で、86%を占めています。
オーストラリは物流施設がメインで72%を占めており、都市別ではシドニーが50%となっています。
ヨーロッパでは物流施設とデータセンターで半々。全体の76%は英国となっており、次いでフランスの10%となっています。
物件の管理も上手く行っており、占有率も94.4%と、ここ一年は94%以上の水準を保っています。
シンガポール国外の投資が増えるにあたり、現地通貨での調達にこだわることで、ポートフォリオ全体でのNatural Hedgeを行い、為替リスク対策を行っていることが見受けられます。
テナントはテックやライフサイエンスなどのグロース系企業の割合が高く63.4%を占めます。
トップ10テナントはシンガポール大手企業を筆頭に全体の16.0%を占めています。
<財務指標>
レバレッジ36.7%と健全な水準を維持しており、金利上昇局面で不動産価値が下落しやすい今の環境下でも強い財務基盤を誇っています。CapitaLand系列の優良銘柄で格付けも高いため、借入金利率も2.5%と金利コストを抑えています。
アジア系リートのETFではほぼ必ずといっていいほど組み込まれている銘柄であり、シンガポールリートの中でも投信及びETFからの資金流入があり、取引高も多いです。(逆に言うと、ベアマーケットによる投資信託・ETFからの資金流出が多くでた場合は株価にマイナスの影響があります。)アジアリート最大規模で安定性もあり、かつ6%近い利回りがあるので、長期投資にも向いています。アジアリートを始めたい方にはオススメの銘柄です。