【銘柄分析】Keppel REIT :マリーナ・ベイを囲む一流オフィスビルを保有するリート

<概要・特徴>

シンガポールといえば、マリーナ・ベイ周辺のオフィスビル群をイメージする人も多いかと思います。そのオフィスビルの一角を保有しているのがこのKeppel REITです。保有資産の約80%はシンガポールオフィスに投資しています。優良リートらしく安定的な配当が売りで、上場歴も長い老舗リートになります。2006年上場時はAUM 600M SGDでしたが、2022年時点でAUM 9B SGDと15年間で約15倍と運用資産額を着実に伸ばしています。

 

価格 0.965 SGD 時価総額 3,601 M SGD 配当利回り 6.2% (2022/10/7時点)

NPI: 89.5 M SGD (YoY+6.0%)  DPU: 2.97 cents (YoY+1.0%) やや成長率は低く、微増ながらYoYで成長しています。  

<ポートフォリオ>

資産額ベースで、ポートフォリオの78%はシンガポール、18.6%はオーストラリア、3.4%が韓国となっています。

 

物件の稼働率は95.5%と高い数値を維持しています。Keppel REITは優良物件を保有していることもあり、2008年以降常に稼働率は高く、実績が99%という年も多いです。

旗艦物件であるMarina Bay Financial Centre, Ocean Financial Centreの2物件で全体の50%のNPIを稼いでいることがわかります。これをリスクと取る人もいるかもしれませんが、シンガポールのオフィスビルを代表するような優良物件であるため、むしろこの2物件を保有することで収益の安定性を維持しているように思います。

 

<テナント・リース状況>

テナントとのリース契約は2024年以降更新の比率がやや高めとなっています。平均での賃料は年々増加しており、直近の2022 1Hでは$11.43psfと現在契約中の平均価格を上回っており、今後値上げによる売上増加が期待できます。

テナントのセクター別では金融系が30%弱と高めです。Topテナントはオーストラリア物件に入居するビクトリア州政府機関が10%、次いでシンガポール3大銀行の一角DBSが4.8%となっています。4位にも西オーストラリア政府機関が入っており、オーストラリア物件は政府系という手堅いテナントで占められていることがわかります。

レバレッジを37.9%と前四半期から抑えつつ、金利上昇リスクに備えて固定金利の借入は73%を占めています。借り換えタイミングも2023-2028年で分散されており、直近で借り換えトラブルが出る可能性は少ないと言えます。

 

本記事で抜粋したスライドは下記IRサイトの資料を使用しています。

参照:Keppel REIT IR サイト

 

Keppel Investmentは今回のKeppel REIT以外にも各セクター毎のREITをもっており、それぞれの戦略についてはREIT Synposiumで語られているのでぜひ参照してみてください。