【書評】リスクを取らないリスク 堀古英司

ニューヨークでヘッジファンド「ホリコキャピタル」を運営している堀古氏の著書。

リスクを取らないリスク

リスクを取らないリスク

  • 作者:堀古英司
  • クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
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お金、キャリア、人生、日本で生きていくためのアドバイス

あなたは、何もしないことこそリスク回避だと考えていませんか?

政治でも経済でも新しいことをはじめるのにとてつもなく時間がかかる国、日本。
職業、保険、年金、家の購入など日本でこれからも生きていくには
様々なお金に関する知識が必要です。
ニューヨーク、ウォール街で働くファンドマネジャーが、
これからも日本で生きていくなら知っておきたい
「リスクの考え方」
「お金との向き合い方」
「お金で買えないものの話」
をお伝えします。

2014年とやや古い著作であるため、記載されているエピソード等やや古い部分もありますが、根本的な投資に対する考え方など大変勉強になります。セミナー等で堀古氏の話を聞く機会があれば、この書籍の内容が今も使えるかということがわかると思います。

本書の構成は以下、

  1. リスクに関する3つのルール
  2. リスクの担い手がいないとどうなるか-アメリカ金融危機の例-
  3. 「リスクを取らないリスク」の例-日本の金融政策-
  4. 想定されるリスク
    1. -日本の更なる資本主義化-
    2. -広がる格差-
    3. -進む円安-
    4. -年金カット-
  5. リスクを取る前に重要なこと
  6. お金でできる「リスクを取らないリスク」対策
  7. お金でできない「リスクを取らないリスク」対策
  8. 実行

アメリカと日本で経済格差が広がり続ける点や円安についての議論など、日本政府がリスクを取らないことで抱えてしまったリスクが現在2022年に顕在化している点が興味深いです。

 

本書全体を通したメッセージとして

  • 投資に対するリターンはリスクを取った人に対するご褒美。
  • リスクを取らないことにもリスクはある。リターンに応じたリスクを適切に管理する。リスクとリターンは需要と供給で決まる。リスク・リターンのバランスをみること。
  • "いかなる場合も退場してはいけない"という意識を持ちリスク管理を行う。

という点を強く感じました。

 

直近の堀古さんの相場観としては、2022Q4は強気。理由として①先行指標ではインフレ鈍化が見えてきており、金利の上限が見えつつあることと、②自社株買いが相当出ることが支えとなる点を挙げています。(来年以降自社株買いに課税されるため1月以降は反動で大きく減少する可能性あり。)。今年は買いといいつつなかなかマーケットは上がっていないので、なんとかQ4は挽回してほしいところ。。。