シンガポールREIT最大のCapitaLand Integrated Commercial Trustが2023 Q3決算を発表しました。
Gross Revenue , NPI共に前年比成長を達成するなど堅実な決算でした。物件稼働率や更新賃料値上げも良好な結果となっています。
Q3 2023の実績を見てみましょう。
Gross Revenue : S$391.3M (YoY +4.6%)
NPI : S$275.0M (YoY +0.6%)
Revenue ,NPI共に前年比成長を達成しています。Retail, Office, Integrated Developmentの全てアセットタイプでGross revenueが成長していることがわかります。
2023年累計の実績は以下のようになっています。
Gross Revenue : S$1,166M (YoY +9.8%)
NPI : S$827M (YoY +6.8%)
こちらもRevenue ,NPI共に前年比成長を達成しています。
バランスシートにおけるレバレッジは40.8%、借入金の固定金利でのヘッジは78%と盤石な状態となっており、現在の高金利環境下でも高い耐性があることがわかります。
次にポートフォリオの状況を確認していきましょう。
ポートフォリオ全体での稼働率は97.3%と前四半期から0.6pts改善しています。Retail,Office,複合施設であるIntegrated Development全てのアセットで改善しています。
既存契約の更新率であるRetension rateはRetail 82.9% (QoQ -3.9pts), Office 90.4% (QoQ -6.2pts)と共にQoQで下落しています。
次にそれぞれのカテゴリー別での詳細を見ていきましょう。
まずはRetailです。Retailについては更新率はQoQで下落したものの、賃料の値上げが全体で+7.8%となっており、インフレ環境に適応しながら収益を伸ばしていることがわかります。
今まで好調であった更新率が低下した理由としては、ショッピングモールのテナントを一新し、より買い物客数を伸ばすための施策であったようです。実際、買い物客は前年比で+12.9%と2桁成長となっています。
次にオフィスですが、こちらも稼働率は96.4%とQoQで1.0ポイントの改善、さらにシンガポールオフィスでは平均賃料単価も継続して値上げすることに成功しています。オーストラリア物件の稼働率が低い点は課題としてまだ残っています。
懸念材料の1つとなっているのはオフィスの大口テナントであるWeWorkが米国で破綻した点です。シンガポールや日本のWeWorkは独立して運営しているため、今回の破綻の影響を受けないという公式見解を発表しているものの、本REIT売上の2.4%を占めていますので、引き続き注意が必要です。
高金利下というREITにとっては逆風の環境ですが、全体としては非常に堅調な決算を出せていますし、年度末決算に向けても引き続き順調に進めてほしいところです。
スライドは以下のIRサイトより抜粋しています。