【ゴールド投資】金鉱山、生産コスト増による採算圧迫。金鉱株よりゴールドETF投資に追い風か。

年初から上昇していたゴールド価格が2月に発表された雇用統計以降、調整を続けています。雇用統計、CPI、PCEと強い数字が相次ぎ、ドル実質金利が上がっていることが要因です。

さらに、金先物価格の上昇を追い風に売上・利益の増加を期待したい金鉱株は、生産コストの増加をカバーできずに、苦しい状況が続いています。

金を産出する鉱山会社がかつてない逆風に直面している。世界的なインフレを受けてエネルギーや労務費などの生産コストが過去10年で最高となり、金相場の高値が続く中でも収益が伸び悩んでいる。埋蔵量の先細りと金利の上昇が重なり、巨額投資を伴う資源開発の難度も増す。業界では生産基盤を維持するため、再編で合理化を図る動きが加速している。

生産コストは過去10年で最高となり、金先物価格が1800ドルを超えた今でも採算が圧迫しているようです。大手バリック・ゴールドのFY2022決算も通期で前期比8割の減益となりました。

 

業界では再編による”余剰コストの削減と効率化を目指した”合理化の動きも出ており、米国最大手のニューモントとオーストラリア大手のニュークレストに170億ドルでの買収提案をしています。

現状、掘削が容易な低コストの鉱脈は少なく、埋蔵量も先細りを辿っています。一方、中国を筆頭に中央銀行はドル離れに伴って金の保有量を増加させており、需要は高まっています。

通常、金価格が上昇する局面では、金鉱株の方がレバレッジがかかり、利益の増加幅が大きいので、金鉱株への投資にメリットがあるのですが、上記のように金鉱株のコスト側での問題が継続し利益が伸びてこないとなると、ゴールド自体に投資する金ETFの方がより確度の高い投資となってきそうです。金価格については冒頭に記載したドルの実質金利と逆相関となっているため、現在高止まりしている米国債の金利がピークをつけるかどうかに注目する必要があります。2/24時点で米国10年債の金利は一時3.97%と4%目前まで来ており、4%超えの場面では債券の買い需要は高く、いつ反転してもおかしくない水準まで来ています。中央銀行の買いは継続したものとしてトレンドを形成しやすいので、少額からでもポートフォリオにゴールドを入れて分散させておきたいところです。

 

金のETFはGLDが代表格ですが、より低コストのGLDM(GLDのMiniバージョン)というETFの方が個人投資家向きです。(GLDは経費率0.4%,GLDMは0.1%)