今回は2023年REIT Outlookを見ていきたいと思います。
総括として
- REITはこれからの6ヶ月間でプライベート不動産ファンドや株式市場をアウトパフォームする。
- REITは強固なオペレーションパフォーマンスを伴った低成長の期間になるものの、2023年の不確実性の高いマーケット環境下では良いポジションにいる。
- REITとプライベート不動産ファンドの評価額は高金利と経済の低成長の影響を受ける
- REITとプライベート不動産ファンドの評価額には大きな乖離が存在している。もしこのGAPが縮まるとすれば、プライベート不動産ファンドの評価額は20%の下落余地がある。
詳細のデータを見ていきましょう。
上記グラフから読み取れる内容は
- REITはリセッション前4四半期(約一年)はプライベート不動産ファンドをアンダーパフォームする
- REITはリセッション期間とリセッション後4四半期(約一年)の両期間においてプライベート不動産ファンドをアウトパフォームする
- REITはリセッション前4四半期(約一年)、リセッション中、リセッション後4四半期(約一年)のいずれの期間においても株式をアウトパフォームする。
REITのFFO(Funds From Operation)はコロナ前のパフォーマンスをすでに上回るレベルで回復しており、2022年の金利上昇局面でも堅調なオペレーション実績を示している。FFOは前年比+14.9%成長で$19.9 Billionと史上最高値を記録しており、NOI(Net Operating Income)も+8.1%成長と、高インフレ環境下でも着実に実績を出していることを示している。これらの強固なオペレーション実績が2023年のマーケットを乗り越えていく上での素地となっている。
REITとプライベート不動産の評価額のGAPについては下記の記事でも言及されています。REITは2022年に価格下落を伴って高い金利を織り込んで行きましたが、プライベート不動産ファンドの方はまだ反映が十分でなく、下落余地があるとしています。
プライベート不動産ファンドの投資家は流動性が低い不動産を短期的なマーケットに基づいて売却することに躊躇いがある点が、反映が遅くなる要因といえます。
逆にREITは上場して流動性が高いが故に株式と同様すぐにマーケットセンチメントの影響を受け、短期的に価格が上下に振らされてしまうことになるともいえます。上記グラフのようにREITの2年移動平均線の動きをとると、プライベート不動産ファンドと似通った動きとなります。
この短期的なボラティリティの高いREITの動きとプライベート不動産ファンドの値動きの差異がREITの超過利益の源泉となり、今後高いパフォーマンスが期待できます。REITに長期投資をする際には、その観点を理解しつつ、価格下落時にも慌てずに対応することが長期的に高いパフォーマンスを出す上で大事になってきます。
より詳細なデータがそれぞれのサイトに記載されていますので、ぜひ元サイトも参照してみてください。
Reference:
REIT Market Outlook 2023 | Nareit
Public vs. private real estate: Similar assets, different prices - Janus Henderson Investors