シンガポール上場US REIT、配当利回りがついに10%超え

直近のREIT価格下落により、ついにシンガポール証券取引所(SGX)に上場しているUS Office REITの配当利回りが10%を超えてきました。コロナショック時の歴史的な割安水準に到達です。米国は不動産市場・REIT市場共に最大規模で、世界REIT指数の50%以上を米国REITが占めることでもその存在感がわかります。そのため、シンガポール証券取引所(SGX)に上場しているUS Office REITも底堅いマーケット基盤に紐付き、比較的安定性の高い銘柄となります。そんな米国を基盤とするUS Office REITが配当利回り10%以上となるとかなり投資妙味を感じます。具体的にSGXに上場しているUS office銘柄を見ていきましょう。該当銘柄は3銘柄あります。

高配当銘柄の場合、高すぎる配当は減配が懸念されます。そこで、財務状況などを中心にチェックしていきたいと思います。ポイントとしては、

  • 過去の配当推移:マーケットが厳しい局面でも配当を出し続ける収益基盤があるか?
  • 財務レバレッジ比率とスポンサー:資金調達コスト増による倒産などの可能性はないか?スポンサーは実績のある会社か?
  • 賃貸オフィスのマクロ環境はどうか?:オフィス需要など減配が懸念されるほど環境悪化する可能性はあるか?

<過去の配当推移>

リートに多大な影響を与えたコロナ前と後での配当の推移を見てみます。

*Prime US REITは2019年7月上場のため半期の配当。

ホテルリートなどは壊滅的な状況でしたが、コロナほどのインパクトがある事象が発生してもUS Office REITは前年比で一桁%台のマイナスしか配当は減りませんでした。企業が事業を運営する上でオフィスニーズはありますし、3銘柄ともAグレードのオフィスを保有しているため、空室リスクも少ないです。さらにテナントの分散化、金利変動リスクに対するヘッジも行うことで減配リスクを抑えています。

 

<財務レバレッジ比率とスポンサー>

最初の表に記載した通り、3社ともにLTVは40%前後と標準的な水準で過度なレバレッジは掛けていません。直近で物件を取得しているManulife REITが42%とやや高くなっています。スポンサーはManulife REITは保険会社のManulifeで、Globalで20 Billion USD規模の不動産投資の実績があります。Keppel Pacific Oak REITはシンガポール大手のKeppelがスポンサー、Prime US REITはKBSがメインスポンサーですが、実はKeppelとSPHも出資者として名を連ねています。

 

<米国オフィス不動産のマクロ環境>

2四半期連続でGDPマイナス成長となっているものの失業率は過去最低水準を維持するなど良好です。金融引き締めによるリセッション懸念は出ているものの、現況としてはかなり良い経済状況です。(そもそも経済状況が良くないと金融引き締めはできない。)

インフレの影響もありオフィス賃料は増加傾向で、Afterコロナによりオフィスに戻る企業が増えてきています。どちらもOffice REITが高い配当を維持するためのプラス材料となります。

アメリカではback to officeの流れが継続しており、ゴールドマン・サックスやアップルなどの大手企業がオフィス出勤に戻るというニュースが出ています。リモートワークを継続する企業もハイブリッド型でオフィス出勤とリモートワークを使い分ける形が多いです。

<結論>

今の利回り水準は打診買いを進めてよいレベルだと思います。今後リセッションやドル安によりさらに価格が下がる可能性はありますが、配当額についてはそこそこ耐性があり高い利回り水準を維持できそうです。配当狙いの投資でポートフォリオを組む場合、この利回り10%は十分魅力的です。シンガポール上場REITは基本的に割安に放置されていることが多く、なかなか注目が当たらないため投資口価格でキャピタルゲインを大きくとって行くことは難しいですが、配当狙いであれば高品質のREITを高い利回りで投資することができるお得なセクターです。今回紹介した3銘柄はその強みを存分に活かせる銘柄群と言えます。

 

紹介した銘柄の1つ、Kepple Pacific Oak US REITについての解説記事はこちら。

Manulife US REITはこちら*2022/9/20追記