米大手ブラックストーンの不動産投資信託 5ヶ月連続での解約制限を実施

2022年末から不動産セクターの懸念となっている米国大手ブラックストーン運営のBREITですが、3月も45億ドルという巨額の解約請求が発生したため、解約制限を行いました。実際に解約を行なったのは請求額の約15%に相当する6億6600万ドル分となったようです。

ブラックストーンが富裕層向けに提供する700億ドル(約9兆3000億円)規模の不動産投資信託(REIT)は、投資家からの解約請求額が3月に増加し、5カ月連続で換金を制限する事態になった。

「市場のボラティリティーが著しく高く、金融ストレスが広がった」3月に、「ブラックストーン・リアル・エステート・インカム・トラスト(BREIT)」には45億ドルの解約請求があったと、同社は1日付の書簡で明らかにした。BREITは約6億6600万ドルを換金した。これは請求額の約15%に相当する。

解約制限がかかるのは5ヶ月連続で、2月には39億ドルと1月の50億ドルから減少していたもののいずれも大きな金額です。

BREITの過去記事はこちら。

3月に起きたシリコンバレー銀行などの金融不安が次は不動産セクター、特に商業不動産に波及するのではと憶測もあり資金流出が止まりません。実際、商業不動産であるオフィスは高い空室率が続き、マンハッタンやロサンゼルスなどの都市部の不動産評価額も大きく下落しています。下記ゼロヘッジの記事にもあるようにLAの代表的なオフィスも50%の損失での投げ売りが発生しているようです。

上記のようなマーケット状況もあり、シンガポールREITの米国オフィスをメイン投資先とするREITは2022年からの下落が止まらず、直近でも大幅に価格を下げています。例えば、Manulife US REITのチャートを見ると年初来で約20%も下落しています。

Manulife US REITはLTV上限規制抵触のため、Citiをアドバイザーとして財務戦略を練っており、韓国のMirae Assetからの出資について議論されています。

US Office REIT現在のバリュエーションはかなり割安であるため、投資チャンスであるというレポートも出ており、直近のバリュエーション及びRisk & Opportunityについては別途記事をまとめたいと思います。

いずれにせよ、ナスダック指数など直近の米国株式指数の上昇が示すように、金融危機懸念は終わったのか、それとも不動産セクターや金融セクターが上がりきっていないため、危機は終わっていないと捉えるのか、目を離せない状況が続きそうです。