ジャンク債ETFに多額の資金流入

年始から好調の米国株価と同様、ジャンク債(ハイ・イールド債)へも多額の資金流入が確認されています。2022年で約15%下落したこともあり、12%程度のリターンが見込めるということでジャンク債に投資家が殺到しているようです。

ブルームバーグのデータによると、この1週間に債券ETFには約110億ドル(約1兆4500億円)の資金が流入したが、流入額が最も多かったのはiシェアーズiBoxxハイイールド社債ETF(HYG)で16億ドルだった。

高利回り債を巡っては、米当局の金融引き締めで米経済がリセッション(景気後退)に陥れば痛手を受けるとの警告が増えているにもかかわらず、投資意欲は強まっている。景気が悪化すれば格下げやデフォルト(債務不履行)が相次ぎリスクプレミアムは上昇する恐れがある。だが利回りがこの10年の最高水準付近で推移しており抵抗しがたいと、クレジットサイツは分析する。

Junk Bond ETF Posts Biggest Inflow Since 2020 | HYG absorbs more than $1.7 billion last week

 

ジャンク債は炭鉱のカナリアとも言われ、マーケットのセンチメントから先行するため、ジャンク債価格が下落(利回り上昇)してくると注意が必要です。今のマーケットのセンチメントはCNNのFear & Greed指数で63まで回復しており、"Greed"のカテゴリーに入ってきています。

昨日1/13には米国銀行株の決算発表もあり、JPモルガン、バンク・オブ・アメリカが売上、EPS共にコンセンサスを上回りました。債券投資では銀行株のBad Loan Provision(貸倒引当金)に注意を払う必要がありますが、大手4社とも前期(2022Q3)から金額を引き上げています。引当金の金額が増えてきているということは企業の倒産などリセッション懸念で貸倒れが起きる可能性が高まっていることを示します。

 

ここでジャンク債(ハイ・イールド債)がどのような債券か確認しておきましょう。債券の格付けはAAA-Dまであり、AAA-BBBまでを投資適格債、BB以下をジャンク債(ハイ・イールド債)と呼びます。

引用:債券の格付け|債券の概要・特徴|岡三証券

*S&Pやムーディーズなど格付会社により表記は変わります。

ジャンク債は投資適格債よりもリスクが高い分、高い利回りとなっています。

ジャンク債の主な発行企業はTeslaなど有名な企業も多く、昔はAmazonなども含まれていました。

投資適格債に比べて企業の倒産リスクが高いため、それを見越したリスクプレミアムが高利回りの源泉となっており、下記資料からもわかる通り、デフォルト率が高まる前にスプレッド(上乗せ金利)が上がるため、先行して利回りが上がっていきます。これが炭鉱のカナリアと言われる所以でもあります。

 

Reference:

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド|ファンド(投資信託)詳細|フィデリティ証券