年末を迎えシンガポールREITでもグリーンローンなどを活用した借入金借り換えのニュースが出てきています。今回発表となったのはKeppel REITがGreen Loanを活用してのS$100Million(約100億円)の調達, Suntec REITがSustainability-linked Loanを活用してS$400Million(約400億円)の調達を行なっています。
グリーンローン/サステイナビリティローンとは、資金の使用用途が環境や社会課題解決に関するものに限定される一方、好条件で資金を調達できる点、環境への配慮を行なって企業であることを示すことでの社会的支持など借り手側にもメリットがあります。グリーンローンを利用す企業も増えてきており、組成数は右肩上がりとなっています。
上記サイトからサステイナビリティローンのメリットを引用させていただくと、
- 借り手のメリット
- サステナビリティ経営の高度化
- サステナビリティ経営に係る取組及び環境・社会面で持続可能な経済活動の推進に関する積極性のアピールを通じた社会的な支持の獲得
- サステナビリティ・パフォーマンスを向上することによる貸出条件等におけるインセンティブ
- 新たな貸し手との関係構築による資金調達基盤の強化
- 貸し手のメリット
- ESG金融の一つとしての融資
- 融資を通じた経済的利益と環境・社会面からのメリットの両立
- 借り手のサステナビリティ・パフォーマンス向上の動機付け
- 借り手とのサステナビリティに関する深い対話(エンゲージメント)
- 環境・社会面からのメリット
- 地球環境の保全への貢献
- サステナビリティ・リンク・ローンを行う金融機関に預託する個人の啓発
- サステナビリティ・リンク・ローン推進を通じた社会・経済問題の解決への貢献
デメリットについては記載がありませんが、
- 調達資金の使用用途が限定される
- 金額的に大きくないものの、通常のローンと異なり、サステイナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPT)を管理・報告するための手間・コストが発生する。
の2点でしょうか。
多くのシンガポールREITが脱炭素化の背景でエネルギー効率化を促進するリノベーションなどを積極的に行なっています。こちらは2020年のデータと少し古いですが、2018年以降伸び率が拡大しています。
- Green loans are generally structured in the same way as standard loans except that proceeds from green loans are tracked and used for specific green projects which met certain benchmarked criteria.
- Sustainability-linked loans generally do not restrict the use of proceeds but borrowers will have to commit to sustainability performance targets, and are awarded a reduction in interest rates if their sustainability targets are met. Therefore, sustainability-linked loans align companies to broad investor sustainability expectations and allow access to a wider range of companies who might not have specific green projects or funding needs.
2つを比較するとグリーンローンの方がより使用用途が厳格されており、サステイナビリティローンの方が幅広く使えるようです。
ローンではなく、グリーン債などの債券を発行する企業もあり、2022年10月にはSGX最大のHospitalityリートであるCapitaLand Ascott Trustが円建てSustainability債を発行したこともニュースになっていました。
中銀利上げに伴う金利コストの上昇懸念もありますが、グリーンローン/サステイナビリティローンなどの仕組みを上手く活用することで、資金調達コストを下げる取り組みも今後活性化していきそうです。