レイ・ダリオ氏が指摘する"中国が直面する8つの困難"

レイ・ダリオ氏が自身のブログで、中国が直面している8つの困難な問題について記載しています。これは先日公開されたブログで述べた、2024年に向けて世界的に軍事戦争が起きる危険性が高まっているという分析に関連する内容となっています。

ブログで述べられている8つの要因について以下みていきたいと思います。

  1. 不動産、金融システム:
    1. 不動産バブル:不動産は経済の根幹。ここが崩れることは多くの資産目減りを意味する。
    2. 金融システムリスク:シャドーバンキングなどを規制してきた。ここ2年で対策して痛みを伴っている。それが不動産バブル崩壊にもつながった。
    3. 中国は自国通貨での負債が大半なので、時間はかかるがハンドルできる。上手く行けば2-3年で解決できる。
  2. COVID:COVIDのロックダウンによる経済弱体化。多くの高齢者を管理できるほどの医療体制は整っていない。
  3. 政治政策:テック企業やマーケットに逆行する政治政策。反欧米。米中対立。規制や税制なども異質で生産性促進にはつながらない。
  4. 米中対立:経済の足かせ。貿易紛争やテクノロジー(半導体規制など)の覇権争い、勢力圏争い、経済制裁など全てで戦争状態。軍事戦争に近づく危険ゾーンまで来ている。2024-2025が最もリスキー。
  5. 世界経済減速とインフレによる金融引締は中国輸出や中国投資悪化要因。
  6. 難しい環境下で、政府の意思決定者は「決断を下さない」決断をとりがちになり、これは成長と改善にとってはマイナスに働く。
  7. 人口統計:高齢化が進み、少ない若者が高齢者を支える構造は金融・経済面で成長を妨げる要因となる。
  8. 気候問題:干ばつ、洪水、パンデミックなど気候問題による自然災害への懸念。長い歴史上、中国はこのような自然災害に悩まされてきた。

上記8つとは別に先日決定された習近平主席の新体制への懸念についてもコメントしています。独裁制が強まり、グローバリストは新体制から駆逐されている。新体制が懸念している点は主に2つで、①中国テック企業など力を持ちすぎた企業に対する懸念②米国対立の懸念の2点。これらをトレードオフを考えながらどうバランスを取ってハンドリングするかが政策決定者の課題となっている。現時点では先行き不透明で危険である。

 

ダリオ氏は、中国が上手く対応し軍事戦争を避けることを望んでいるが、今後どうなるか中国の動きには注目です。特に米国大統領選もある2024年は米中対立が動きやすく、警戒を強める必要があります。

 

すでにリーマンショック並みに株価暴落した中国・香港株に対して、ゴールドマンが強気姿勢という記事も11/18付で出ていますが、投資するのであれば、ダリオ氏が指摘しているリスクを念頭に置く必要がありそうです。

ティモシー・モエ氏らストラテジストはリポートで、「2022年は東南アジア諸国連合(ASEAN)やインド株が好調だったが、中国市場が上向きに転じたほか、韓国も回復が見込まれており、域内株のけん引役が北アジア諸国に移る可能性がある」と指摘。米金融政策動向によってドルが頭打ちとなるにつれ、来年4-6月(第2四半期)はアジア株にとって転換点になり得るとも分析した。

モエ氏らはMSCI中国指数とCSI300指数がいずれも今後1年で16%上昇すると予測。香港株の投資判断については「マーケットウエート」に引き上げた。韓国株は「中立」から「オーバーウエート」に上げ、韓国総合株価指数(KOSPI)が向こう1年で11%上昇すると見込んだ。

シンガポールは立場上、米国と中国の中間にいるものの、経済面での中国の影響は年々増しています。シンガポールREIT投資家にとっても中国の動向は重要になってきます。