<概要・特徴>
New Economy不動産に強いESRをスポンサーとする産業施設に特化したIndustrial REITで、シンガポールとオーストラリアに投資しています。2022年4月にESR REITとARA-LOGOS REITが合併してESR-LOGOS REITとなり、時価総額が全体12位まで拡大しています。(Industrial系REITでは5位。)。大型REITに比べて高い9%台の配当利回りが魅了の中堅REITとなっています。
2006年の上場以降、525M SGDから5.5 B SGDまで規模を拡大しています。小型リートの立ち位置から上位リートと戦える規模の中堅リートへと成長しています。
価格0.32 SGD 時価総額 2,143M SGD 配当利回り 9.4% (2022/10/25時点)
直近の2022Q3決算でも合併の効果で前年比で大きく成長しており、Gross RevenueはYoY+57.4%, NPIはYoY+59.2%となっています。
<ポートフォリオ>
シンガポールとオーストラリアの産業施設を主な投資先としており、シンガポール国内物件の比率が高く運用資産の約77%を占めています。近年は物流施設を強化しAUM比率を50%まで上げています。
また、オーストラリアのREITに投資するFund InvestmentがAUMの7.3%程度あります。
占有率はシンガポール90.4%、オーストラリア99.5%と共に地域平均水準を超えており、全体では92.4%となっています。(22Q2時点では全体で94.1%。QoQでは-1.7pt.)
契約更新時の賃料も値上がりしており、22Q3では+11.4%という良好な結果となっています。
物件規模拡大戦略としては、New Economy関連に重点を起き、物流施設とハイテク産業施設(データセンター、半導体関連など)への投資を拡大しています。直近でも下記、千葉にあるデータセンターを取得しました。
183M SGD(約178億円)規模で買収した千葉県にあるサクラ データセンターは2022/10/31に取得完了となります。こちらのDC稼働により配当額+2.9%増の効果があります。
<テナント・リース状況>
保有物件は複数テナントが入るマルチテナント物件が77%、シングルテナント専有のものが23%となっています。
借入金のうち固定金利は66.6%。平均金利は3.27%となっています。
借入金の返済年も上記分散されています。2023年は20%相当額の借り換えが発生するため、現在の高い金利がどのように影響するかは要注意です。
PBRや配当利回りは5年平均水準よりやや上となっています。
セミナーでCEOが言及していたESR-LOGOSの現状については以下。
- マーケットがリセッションになるとは考えていない。インフレのマネジメントの方が重要。中国が2023年にリオープニングすればインフレは和らぐとみている。
- IndustrialはRetailやHotelなどと違い支払遅延もなく、安定しているセクター。特に物流についてはeコマースもあり需要の強さが継続している。
- Amazonが倉庫リースを行うことでの供給過多はUSの問題でありシンガポールなどのアジアではあまり関係がない。産業施設が不足している状況は変わらず、引き続き積極的に投資していきたい。
- エリア別での懸念点等について
- シンガポール:リース期間がやや短い。ハイクオリティのテナントが多いため高いValueを維持できている
- オーストラリア:金利の高さが気になる。マージン圧迫の要因となる。
- 日本:低金利で良いスプレッドの状態。不動産投資に良い環境。
- 中国・インドなどの新興国マーケットにも将来チャンスはあるだろうが、すぐに進出する考えはない。
シンガポール国内比率が高く、為替リスク耐性のあるREITである点を下記記事で分析しています。