米国CPI予想外の上昇。NYダウは1000ドル以上の暴落。さらなる下落に注意。

9/13に発表された米国CPIが予想外に上昇したことを受け、米国株式市場は大幅に下落しNYダウは1000ドル以上下げました。著名なファンドマネージャーは直近の株式市場の反騰に警鐘を鳴らしてきましたが、楽観的になっていた市場に改めてインフレ克服の困難さとハードランディングの可能性を示唆する形になりました。ドル円も同時に145円近辺まで上昇しています。

今回の株式急落を受けて、市場にはさらに20%以上の下落を覚悟する必要があるとコメントを残すファンドマネージャーが目立ってきました。ダブルライン・キャピタルのガンドラック氏もそのうちの一人で、10月半ばまでに20%の下落もあり得ると話しています。ガンドラック氏は米国株よいも欧州株を選好。米ドルが下落した後は新興国株に強気としています。

米投資運用会社グッゲンハイムで最高投資責任者(CIO)を務めるスコット・マイナード氏らは、10月半ばまでに株価が20%下落すると予想したが、ガンドラック氏も同意見だと発言。過去半年はS&P500種株価指数に対し比較的中立的で、最終的には3000の目標を想定していると語った。

  さらにデフレリスクが今は過去2年間よりはるかに高いとの認識を理由に挙げ、長期の米国債に購入意欲を示した。同氏は欧州株を保有し、米ドルが200日移動平均を割り込んだ段階で、新興国市場の資産を買い入れたいと考えているという。

レイ・ダリオ氏率いるヘッジファンドのブリッジウォーターも25%の下落について警鐘をならしています。

ヘッジファンド運営会社ブリッジウォーター・アソシエーツのグレッグ・ジェンセン共同最高投資責任者(CIO)は12日、金融市場は景気後退(リセッション)を十分に織り込んでいないと指摘し、ブリッジウォーターは空売りで投資家にリターンをもたらすことが可能だと述べた。

ジェンセン氏は2週間前にも同様の意見を表明していました。

「資産市場の価値は全体として20-25%下落するだろう」と予想。「市場は比較的安定した経済でのインフレ低下を織り込んでいる」とした上で、金利上昇や米金融当局による量的引き締めの影響は織り込まれていないと述べた。

  同氏の予想によれば、量的引き締めと利上げはインフレと経済成長の両方を押し下げるが、「残念ながら、インフレのほうがしぶとく」、結果的に長期債を中心にあらゆる金利が上昇する。

  金融経済と実体経済の間には大幅な乖離(かいり)があるとして、「資産価格は下落する必要がある」と指摘、「キャッシュフローと資産価格の正常な関係よりも、価格はまだ25ー30%高い」と述べた。

インタビュー動画はこちら

 

---2022/9/15追記---

そしてレイ・ダリオ氏もLinkedInの投稿で金利が4.5%程度に上昇すれば株価は20%下落すると悲観的な見通しを示しました。

  • 民間部門のクレジットの伸びと支出が落ち込み経済も押し下げへ
  • 投資家は長期のインフレに関し引き続き楽観し過ぎている可能性

基本的にジェンセン氏と同様の内容です。

ダリオ氏は13日付のリンクトインへの投稿で、「金利は(4.5-6%のレンジ上限に向けて)大幅上昇が必要と見受けられる」とした上で、「それにより民間部門のクレジットの伸びは押し下げられ、それに伴い民間部門の支出および経済も落ち込むことになる」と指摘した。

さらに、金利が4.5%程度に上昇しただけでも株価の20%近い下落につながるだろうと付け加えた。

ダリオ氏は、長期のインフレについて投資家が引き続き楽観し過ぎている可能性があるともコメント。債券市場の動向に基づけば、今後10年間のインフレ率を巡るトレーダーの予想は年間平均2.6%だが、自分の「見積もり」では4.5-5%だとし、経済ショックがあれば「もっと高く」なる可能性さえあるとの考えを示した

とブルームバーグの記事はまとめています。

ダリオ氏の投稿は下記リンク先から参照できます。