【書評】同志少女よ、敵を撃て 逢坂冬馬

ロシアのウクライナ侵攻や2022年本屋大賞に選ばれたことで本書をすでに読まれた方や書店で目にされた方も多いと思います。戦争が開始されてから半年以上経ちましたが、今だ終息の気配は見えず、直近ではウクライナがハルキウ州を奪還するなど反撃を見せています。

フィクション・ノンフィクションを混在させた構成のため、評価が分かれている部分もありますが、個人的には興味深く読ませてもらいました。独ソ戦を舞台に、モスクワ近郊の農村で暮らしていた主人公である少女セラフィマが母を撃ったドイツ狙撃兵に復讐をするため、赤軍(ソ連軍)の狙撃兵として訓練を受け、戦地に向かうというストーリーです。

 

狙撃兵が主人公ということもあり、特に戦闘箇所などは「スターリングラード」の映画シーンが頭をよぎりました。

スターリングラード (字幕版)

*ジュード・ロウ主演の古い映画ですが、興味ある方には合わせてオススメです。

 

主人公セラフィマと共に訓練を受けた同士の戦死など、戦争の酷さ苛酷さを痛感させられる内容になっています。同士である訓練生も元貴族など背景の異なる少女が集められており、苦しい戦況の中、性別年齢を問わず戦力として求められています。教官・同士たち共に個性豊かに表現され、訓練を受ける中で同じソビエト軍内でもロシアから見たウクライナの立場などが分かる描写もあります。今回は投資とは直接関係ない書籍ではありましたが、今のような世界情勢であるからこそ、ぜひ読んでもらいたい一冊です。