米債金利上昇による逆イールド拡大。REITにも逆風

ジャクソンホール会議でのパウエル講演後、金利は大きく上昇しており米国2年債は3.45%、10年債は3.1%を超えています。ドル高もさらに進み再度1ドル139円をつけています。

ジャンク債もジャクソンホール会議の前から資金流出が続き、今週に入ってからも大きく下落しています。ジャンク債は炭鉱のカナリアとも言われ、ジェフリー・ガンドラック氏など著名なヘッジファンドマネージャーも動向に注視しており、現在の利回りは8%と、6月につけた9%弱の水準まで接近しています。リセッションとなった場合、企業のデフォルト(債務不履行)が発生し、ジャンク債利回りは10%程度になるだろうと警鐘を鳴らす専門家もいます。

米経済はリセッション(景気後退)に向かいつつあり、デフォルト(債務不履行)増加に伴い企業のジャンク債利回りは10%程度に上昇するだろうと、マラソン・アセット・マネジメントの共同創業者で最高経営責任者(CEO)のブルース・リチャーズ氏が指摘した。

 

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が実施した調査によると、エコノミストらは米経済が今後12カ月の間にリセッション(景気後退)入りする確率を44%へと大幅に引き上げた。これは通常、リセッション入り直前もしくはリセッション中でなけれな見られない水準だ。4月の調査では28%、1月の調査では18%だった。

 WSJが2005年に同様の質問を開始して以来、リセッション入り予想が44%に達したことは実際の景気後退期以外ではほぼない。2007年から09年まで続いたリセッションが始まった07年12月の時点では38%だった。また直近の景気後退期が始まった20年2月も26%にとどまっていた。

もちろん金利の上昇はREITにもマイナスの影響を与えます。直近(1H22)の決算期を終えたシンガポールREITの概況を見ても、市況の悪化が顕在化しつつあるため、借入比率が少ないなど財務的に安定したブルーチップ(優良)REITを選別する必要があります。

概況とブルーチップREITについてはこちらの記事でまとめています。