シンガポール中銀が14日、金融引き締めを臨時決定し、名目実効為替レートの政策バンド中央値を変更しました。これによりシンガポールドルは一時99.46円と100円にも迫る高値まで上昇しました。
シンガポール金融管理局(MAS、中央銀行)は14日、金融政策を臨時に見直し、引き締めを決定した。同国が消費者物価高騰への対応を強める中、金融引き締めがインフレ鈍化につながるとの見方を示した。
インフレ抑制を目指す為替管理政策(金融政策)の見直しに伴い、シンガポール・ドル為替レート政策バンドの変動幅の中心値について、市場の実勢を反映する水準に変更する追加の金融引き締めを決定したと発表した。為替レート政策バンドの傾斜と許容変動幅は据え置いた。
この金融引き締めはシンガポールREITにとって影響は大きく、CapitaLand Integrated Commercial TrustやMapletree Commercial Trustといった大型REITも-2.5%~-3%と大きく下げています。13日に発表された米国CPIが前年比9.1%上昇という40年ぶりの高水準を叩き出し、カナダ中銀はサプライズで1%の利上げを決定しました。米国も今月26-27日に実施されるFOMCで0.75% or 1%の利上げが予想されており、世界的な中銀による引き締め傾向がどこまで続くか見極める必要があります。消費者物価指数などの先行指標や直近のエネルギー価格の下落などインフレピークアウトの兆候も出ていますが、FRBはCPIなどの遅行指標を参照している点、ロシアの天然ガスパイプライン停止懸念やOPECによる原油増産も未知数などエネルギー価格が再度上昇に転じる可能性も少なくないのが現状です。
こちらは前回4月の金融引き締め時の記事です。今回で4回連続の引き締めとなりました。