Singapore REIT Synposium2022 レビュー③:シンガポール国外メインのREITsセッション

シンガポールREIT関連で最大のREITイベント REITs SYMPOSIUM 2022 が実施されました。今年は会場とオンラインのハイブリッド形式です。

Interview/Presentationセッションに参加した企業は14社。最大手のCapitaLand系列のREITを中心に幅広いセクターのREIT CEOが参加しました。Live Chatセッションで各REITマネージャーへ直接質問できるセッションやアナリストが参加するパネルディスカッションなど盛りだくさんの内容でした。イベントのレビューを3回に分けてまとめていきます。①イベントの様子・REITs Outlookなど全体感 ②シンガポール国内ポートフォリオをメインとしたREITsセッション ③シンガポール国外をメインポートフォリオとしたREITsセッション。

 

今回は第3回目ということで、③シンガポール国外をメインポートフォリオとしたREITsセッション についてお伝えします。

 

以下6社のセッションになります。(ABC順)

・Ascendas India Trust

・BHG Mall REIT

・CapitaLand China Trust

・Cromwell European REIT

・Elite Commercial Trust

・United Hampshire REIT

 

<Ascendas India Trust>

最大手CapitaLand グループでもあるAscendas REITのインド投資をメインとしたREITです。2007年から上場と歴史は長く、投資方針についての質問では「TechセクターのITパークに注力.アクセンチュアやAWSなどがテナントして入っている。インドは世界的なITアウトソーシングの地位を確立しており、安定した投資ができる分野。さらにBank of Americaなども金融のテナントも入っている」。Capitaland との関係について聞かれると、「大企業の支援があると資金調達(増資や債券発行面)で有利。」「インドのデータセンターへも投資しポートフォリオの分散化を進めている。Keppel DCなど株価は下がっているが、Equinixなどビジネスは好調。他のシンガポールREITとはAsset classが異なるので、強みがある。」「FX ヘッジはしてないが、ビジネス成長力があり、減価を十分上回っている。」FXヘッジについての回答は、う~ん、、、という感じですが、インドルピーは為替変動のボラティリティも意外に大きくないので、そこまで懸念していないようでした。

 

<BHG Mall REIT>

BHG Mall REITは中国のショッピングモールを保有するREITで、Interviewではなくプレゼンテーション形式のセッションでした。高い物件稼働率を維持できている点、FY21で業績も改善していることが見てとれました。6/1から上海ロックダウンも解除され正常化に向かっていますが、今後もゼロコロナ政策を継続していく方針で、FY22のGDP成長率は米国を下回るという予測もあります。中国の成長率がアピールポイントとはなってこない点が懸念点となるものの、コロナ後のRe-openingフェーズでどれだけ伸ばしていけるかがポイントとなってきます。

銘柄分析については過去記事でもまとめています。

 

<CapitaLand China Trust>

CapitaLand 系列で中国市場へ投資を行っているREIT。2006年から上場と歴史も長く、  ポートフォリオはショッピングモール:11物件, ビジネスパーク:5物件 物流施設:4物件 と北京上海などTier1への投資を中心としています。現在の戦略としては「ビジネスパークと物流施設にシフトしていく。これは長期的な視点での強化。初期の頃に比べ、中国での投資環境が整ってきたので、ポートフォリオの分散化を進めている。中国は国をあげて半導体への投資強化を行っているため、ビジネスパークのニーズも増加している」。FXヘッジにについては「6ヶ月配当相当分の約50%を中国元とシンガポールドルでヘッジしている。」とのコメント。ESR-LOGOSのセッションでもコメントがありましたが、Industrialのセクターではやはり物流施設と半導体関連施設への注目度が高そうですね。米中対立以降、中国にとって半導体生産能力の強化は必須であるため、重要度も高そうです。

米中対立に伴う半導体業界の動向については下記記事でも記載しています。

 

<Cromwell European REIT>

名前の通り、ヨーロッパ市場を対象としたREIT。オフィスや物流施設などのIndustrialセクターの物件をメインに保有している。現在のビジネス状況については「ヨーロッパでもBack to Officeの傾向は顕著に出ている。EUもインフレの影響で金利上昇しているが、オランダオフィスなどは立地も良く、賃料更新も値上げできる環境で空室率も低い。」。ロシア・ウクライナ問題では「12%の物件が隣国のポーランドにあるが、大きな影響はない」とのコメント。ウクライナ侵攻が発生した後、ポートフォリオへの影響についてプレスリリースを即座に出すなど、ここのREITはIRがしっかりしています。今後の戦略としては、2022年初頭に物流施設を買収した通り、「物流施設のポートフォリオ拡張」がキーポイントとの回答でした。投資拡大を目論んだものの、現在は頓挫してしまっているデータセンターへの投資も今後動きが出るか要注目です。

cromwellについての関連記事は以下になります。

 

<Elite Commercial Trust>

UKマーケットを投資対象とするREIT. ほぼ全てのテナントが英国政府関係と特筆した高い安定性が特徴。決算状況も良く物件の新規取得もありDPU +33%。方針としては「ロンドンに注力し、都市部の物件を厚くすることでよりポートフォリオを分散化させていく」と回答。UKといっても地方など郊外物件も多かったがロンドンの競争力の高い物件を強化する目的がある。「テナントも政府の他部署へ拡大するなど増加していてビジネスは好調」。インフレの影響についてはUKもUSを追って利上げしているが、負債のうち、固定金利のものが63%と、直近での影響は限定的」とのこと。FXについては「 全てポンドで運用しており、シンガポールドルとのヘッジは行っていない。」。IPO当時はブレグジットの話題も多かったですが、今は全く議論にも上がっていなかったです。

Elite commercialについてはIPOの時から取り上げています。

 

<United Hampshire REIT>

米国東海岸のスーパーやモールなどを投資対象とするREIT。先日のアマゾンやターゲットの決算発表時に小売売上の低迷が懸念されているセクターです。やはり米国をメイン投資先にしていることで、質問も金利やインフレ上昇懸念に対するものが先行していました。「業績は順調で、最新の決算もDPUがYoY +13.1%と伸びている。メインとしているリテールだけでなく、セルフストレージ(倉庫施設)の分野もコロナ禍でニーズが高まっている。今後の投資方針として、オムニチャネルへの対応を強化。」とのコメント。

 

 

以上3回に分けてのSingapore REIT Synposium2022のレポートでした。またシンガポールREIT関連イベントがあればレポートします。